戦時中に日本軍が比で発行した新聞を復刻 大阪の出版社
日本文化紹介と占領政策強化の両面作戦
「ニッポンゴ」はA4サイズよりやや小ぶりの紙面で、8ページ構成。第34号(43年10月4日付け)最終面は「コドモノページ」で、手書きの文章が大きめの字体で掲載されている。 『ヒ(絵)ガ クレ(絵)マシタ。オホシサマ(絵)ガ メ(絵)ヲ サマシ(絵)マシタ。モリ(絵)ノ上(ウエ)ガ アカルク(絵)ナリマシタ』 カタカナ表記の文章で、漢字をひとつしか使用していない。半面、漫画タッチの絵が7点盛り込まれ、たったひとつの漢字にもルビをふっている。日本語をほとんど知らない子どもにも読みやすいよう、工夫を凝らす。 「日本の童話、ことわざ、生活習慣などを盛んに紹介して、日本文化への理解を深めようとしています。一方で、日本の陸軍記念日を特集し、軍部の主張を大きく掲載するなど、占領政策強化につながる誌面作りも推し進めていた。戦勝国が自国の文化を占領地の住民に植え込むことが当然だった時代に、日本がどのような手法で日本語を教え込もうとしていたのか。『ニッポンゴ』復刻版が研究の進展に貢献できればありがたい」(福山さん) 戦後70年、多様な視点からの戦争再検証が待たれるところだ。限定500部発行、価格は3000円。問い合わせは新風書房(06・6768・4600)へ。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)