定年して毎日家でゆっくりしていたら、妻が「暇なら働いたら?」と言います。生活費は足りているはず…お金以外に働く意味はありますか?
63歳会社員のAさん。収入を得られることはもちろん、そもそも仕事が好きで、できる限り長く働きたいそうです。 しかし「進むデジタル化や作業内容の変化など、いつまでも働き続けることで若者に迷惑をかけるかもしれない」など、デメリットに目がいってしまうとのこと。全国の60歳以上で、どのくらいの人が働き続けているのか、第二の人生も働くことで得られるメリットについて考えてみましょう。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
2023年現在、65~69歳の就業率は52%
厚生労働省による「高齢者雇用対策の概要」によれば、2023年で60歳から64歳までで74%、65歳以上69 歳までで52%、70歳以上の18.4%が就労しています。 就労を継続している人はすべて経済的理由からでしょうか? 前述の報告から見てみると、理由の1位は「収入がほしいから」が45.4%ですが、「仕事そのものが面白いから、自分の能力を生かせるから」が21.9%、「仕事を通じて友人や仲間を得ることができるから」が4.4%、「働くのは体に良いから、老化を防ぐから」が23.5%となっています。 この結果からも明らかなように、新しいスキルや知識を学ぶことで自己成長を実感し、仕事にやりがいと満足感を感じることが重要だと認識しているシニア世代は多いです。また年齢が上がるにつれて、達成感や周りの人との関係性といった内的な動機付けが強くなる傾向があるとも言われ、非経済的理由が思いのほか大きいということがわかります。
新しいスキルと知識の獲得
老後も新しいスキルや知識を身につけることは、自己成長を促す重要な要素です。例えば、日々新しく市場に登場するデジタルデバイスやアプリケーションの使い方を学ぶことで、現代社会で起こるさまざまな話題を理解できます。 定年になったからといっても、第二の人生で「社会から取り残される」より「社会の成長とともに自分も成長させられる」ほうが充実した時間になるのではないでしょうか。
社会とのつながりと組織や人間関係の拡大
働き続けることで、社会とのつながりを維持できます。職場やボランティア活動を通じて、新しい人々と出会い、今まで知らなかった情報やものの見方、価値観を得る機会が増えるでしょう。 その結果、孤独感にさいなまれることなく豊かな日々を送ることができます。社会との交わりがなくなることで鬱状態になり、それが体の状態にも悪影響をおよぼすという話はよく耳にします。シニア時代を通院生活、入院生活で医療機関との往復に時間やお金を費やすことは誰もが望んでいないことです。