箱根駅伝「3強の一角」だった国学院大“5分25秒差”大誤算のワケ…「急遽、配置を変えて…突貫でしたね」往路優勝・青学大との“勝負を分けた差”
1月2日の箱根駅伝・往路。 青学大、駒大とともに3強の一角と目されていた国学院大は、往路優勝の青学大から5分25秒差の6位で往路を終えた。 【現地の写真】「平林が抜かれるなんて…」エース平林清澄は前を追えず、思わずこの顔…レース後の「TVには映らなかった」表情&5区で大逆転の青学大・若林宏樹にハグする仲間と“中継では見られない”ゴール後の様子もに見る 「1区がスローの展開になって、2区勝負を引き分けて、3区、4区も勝負して。5区は(ライバル校に)取られるのは分かっていたけど、1分から1分半ぐらいの差で来てくれれば」 これが、前田康弘監督が当初思い描いていたレースプランだった。 復路に強力な選手を残し、往路を終えた時点で1分から1分半の差であれば、復路で逆転できるという目算だった。 出雲駅伝、全日本大学駅伝と接戦を制し、学生駅伝2冠を達成した。勢いは十二分にあったはずだが、どこで歯車に狂いが生じたのか……。 往路を終えた前田監督は、いくつか誤算があったことを明かした。
発端は…6区予定の選手に起きた「トラブル」
まずは6区を予定していた後村光星(2年)のトラブルだ。 後村は前回6区を担い、区間10位ながら59分台で走り切っていた。走力も付き、前回以上の活躍が見込まれていたが、2週間前に右ふくらはぎの肉離れを起こし、全治3週間と診断された。12月29日の区間エントリーでは1区にエントリーされていたが、当初から欠場が決まっていた。 この時点で、指揮官が当初思い描いていた区間配置は、変えざるをえなくなった。 「後村を起用できなくなったので、急遽(嘉数)純平を6区に回し、1区を野中に変えました。突貫でしたね」 1区を予定していた嘉数純平(3年)を6区に。1区には、復路の切り札として残しておきたかった野中恒亨(2年)を回すことになった。 野中は区間6位。独走した中大の吉居駿恭(3年)には1分40秒差を付けられ、駒大には8秒先着されたが、青学大には先行した。急遽の抜擢にもかかわらず、スターターとしてはまずまず役割を果たしたと言える。 だが、ひずみはこれだけではなかった。 プラン変更は4区にもあった。 本来であれば、前回1年生にして区間4位と好走した辻原輝(2年)が適役だが、4区に起用されたのは、今季エース級の活躍を見せている青木瑠郁(3年)だった。青木は当初のプランでは9区予定だったが、4区に青学大の太田蒼生(4年)が来ると踏んで、前田監督は太田に青木をぶつける選択をとった。 「(前回4区の)辻原も調子は上がってきているんですけど、1回練習を外したのでちょっと怖いなと思って。太田君が来るなら瑠郁で互角の勝負をさせて、傷を最小限に留めるという作戦に出ました」 前田監督の読み通り、青学大の4区には当日変更で太田が起用された。この読みが当たったところまでは良かった。しかし、太田は、4区歴代2位(日本人最高記録)となる1時間00分24秒と想像を上回る走りを見せた。 青木も区間2位と決して悪い走りだったわけではない。記録も1時間1分09秒と歴代8位だったのだから。“互角の勝負”で踏みとどまるはずが、両チームのタイム差が1分38秒にまで開いてしまったことは、指揮官の想定外だった。ただ、こればかりは太田を褒めるしかないだろう。 「タイム差が小さかったら、瑠郁はもっと良い展開で行けたかなと思う。太田君ともっとトントンで戦ってほしかった」 前田監督がこう話すように、後手に回る展開になったことも想定外の大きな要因になった。
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