箱根駅伝「3強の一角」だった国学院大“5分25秒差”大誤算のワケ…「急遽、配置を変えて…突貫でしたね」往路優勝・青学大との“勝負を分けた差”
状態が上がらなかった「大エース」平林
実は、2区に起用された平林清澄(4年)の調子が上がっていなかったという。 「宮古島合宿が終わって、12月頭ぐらいから状態が良くなかったんですよ。ポイント練習(強度の高い練習)を見ていても、彼だけがゼイゼイ言っていましたから。相当プレッシャーを感じていたんだと思います」 平林は前回も2区を走り、1時間6分26秒の区間3位と快走し、1区で出遅れたチームのピンチを救う活躍だった。 今回も記録だけを見れば1時間6分38秒と、前回の12秒遅れに過ぎない。だが、前回より気象等の条件がよかっただけに、ライバル校のエースたちは平林を大きく上回る走りを見せた。 「平林にはラストをもうちょっと頑張ってほしかった」 指揮官はこんな言葉もこぼしたが、「それでも、プレッシャーあるなか、よく持ってきましたよ」とエースをかばった。 3区の山本歩夢(4年)の走りも指揮官は悔やんだ。山本は前回大会こそ欠場したが、1、2年時には3区で好走している。全日本では6区で区間新記録も打ち立て、箱根に向けてさらに調子を上げていた。 「抜群に調子は良かったんですけどね。1分ぐらい悪かった。不完全燃焼です」 区間5位の走りで順位も2つ上げたが、期待が大きかっただけに物足りなさが残った。
誤算は青学大にも…両校の結果を分けたのは?
往路優勝の青学大にしても、誤算がなかったわけではない。 「1区は当初、荒巻(朋熙、3年)を使う予定で準備していたんですけど、長く故障が続いていて、11月後半辺りには宇田川(瞬矢、3年)にしようと思っていた。だが、これまた宇田川も脚の状態が悪い時期があって100%の状態でスタートラインに立てなかった。黒田(朝日、3年)がしっかりと走り、鶴川(正也、4年)が突き放すという想定だったが……3区で少しもたもたしてしまった」 原晋監督がこう振り返るように、青学大にしても想定外の1つ、2つはあった。 だが、その誤算を最低限に食い止めて、2区の黒田、4区の太田、5区の若林宏樹(4年)で大きく稼ぐことができたからこそ、往路優勝に辿りついた。 それに対して、国学院は小さな歪みが重なるいっぽうで、それを挽回できる区間がなかったことが6位に終わった原因だった。後手に回ったことで、往路の選手らには焦りもあったのかもしれない。 それでも、留学生に果敢に挑んだ平林や、必死に前を追った山本の走りは復路を走る選手に勇気を与えたはずだ。 青学大には5分25秒差を付けられたが、まだ箱根駅伝は半分終わっただけだ。 「後村が行けなくなった6区次第。そこを踏ん張れば、7区、8区、9区、10区とそこそこ良い走りになると思います」 前田監督も復路の巻き返しを誓っていた。
(「箱根駅伝PRESS」和田悟志 = 文)
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