疑わしき行動をとっていたのは藤田菜七子1人だけだったのか? 根本師「ずるい人間ではない」
女性ジョッキーのパイオニアとして活躍していた藤田菜七子騎手(27)=美浦・根本=が11日、現役を引退した。10日にJRAに引退届を提出し、この日正式に受理された。一部週刊誌に掲載された昨年4月頃のスマートフォン不適切使用問題を発端に、最終的に引退の道を決断した。自らの活躍で女性騎手の存在を日本だけでなく世界へ広めていった競馬界のスターが、思わぬ形でムチを置くことになった。 【写真】藤田菜七子が引退 師匠の根本師は涙ながらに取材対応 今回の一件。もっとも競馬ファンを困惑させたのは、JRA側と菜七子側の意見に差異があったことだろう。 引退届を提出後、師匠の根本師が「二重処分ではないか」と疑問を呈したことで、一時は風向きが大きく変わった。しかし、JRAは会見で「現状では虚偽申告と判断した」と一刀両断。結果、電撃引退という悲しい結末を招いた。 週刊誌の報道から端を発した菜七子引退。“閲覧”ではなく、他者との“通信”が重大な非行と判断されたが、処分に対してJRA側が後手に回っている感は否めない。JRAによると、昨年5月に若手騎手6人が処分された際、のちの聞き取り調査で自ら名乗り出たのは、根本師が「ずるい人間ではない」と涙ながらに訴えた弟子の菜七子1人だけだったという。勘ぐりたくはないが、本当に疑わしき行動をとっていたのは彼女1人だけだったのか?さらなる拡大がないのを願うばかりで、JRAには再発防止を徹底してもらいたい。 言わずもがなだが、女性騎手の先駆者として戦い続けてきた彼女の功績は大きい。それゆえ、このような幕引きとなったのは悲しい限りだ。今年7月にはJRA職員との結婚を発表し、ファンは新たな女性騎手のモデルを見せてくれることを期待していた。が、その夢は突然、あっけない形で途絶えた。もちろん、彼女に非はあるが、もっと別の違った幕引きはなかったのか。まばゆいばかりのあの笑顔を思い浮かべる度に、ただただ悔しくてならない。(デイリースポーツ・松浦孝司)