日銀・黒田総裁会見1月21日(全文3完)金融緩和の出口検討は時期尚早
LIBORについて日本はしっかり対応している
ニッキン:ニッキンの【タダ 00:52:35】と申します。LIBORの公表停止について伺いたいんですけれども、対応の時限が迫ってきておりますけれども、金融機関ですとかの対応の進捗状況、海外対比ですとかでお伺いしたいのと、あと、今年が対応の本番かもしれないですけれども、懸念すべき課題ですとかがあれば教えていただきたいと思います。 黒田:LIBORについては日本はしっかり対応していると思います。ただまだ、これは金融機関だけではなくて、一般企業にも影響がありますので、その辺りまで含めて十分対応をしていただく必要があるというふうに思います。 他方でドルLIBORについては一定の経過期間を設けることになっておりますけども、そのほかのものはこういうふうになっておりませんので、やはりしっかり対応していく必要があると思います。 今年何か特に金融システムについて大きな問題があるということは考えておりません。ご承知のようにバーゼル3も、着実に実施されておりますし、また一部このコロナ感染症拡大に対応して実施を延期するものは延期するとか、そういうこともしておりますし、何か新たな規制とか新たなうんぬんっていうことは、今のところ考える必要はないと思います。 金融システム自体についてはノンバンクの問題が欧米では特に大きく議論されておりますけども、日本でそれほど大きな議論には、問題にはなっておりませんし、CBDCの話は日米欧の中央銀行とも、今、導入する計画はないんですけども、研究は強化していくということで、その点もみんな一致しているというふうに思います
今の金融政策から脱却できるか議論すべきでは
朝日新聞:朝日新聞の原です。今、株式市場では不況が続けば株価が上がるという非常にゆがんだ相場観が出ていると思います。なぜそうなっているかといえば、日銀やFRBによる大規模な緩和が今後も続くからという、そういうマーケット参加者の読みがあるわけですけれども、こういうゆがんだ相場観をつくっている金融政策というのが問題ではないかというふうに私思うんですけども、私、総裁は今、そういうこの状況についてどういうご見解をお持ちかということを1つお伺いしたいのと。 あとこういう相場観を形成している金融政策からの脱却っていうのはますます難しくなっていると思うのですが、かねて総裁は出口戦略について、今議論するのは時期尚早だとおっしゃっておられましたけれども、さすがに8年たって時期尚早というのはないと思うんですよね。3月の点検では本当に今の金融政策から安全に出られるのかと、脱却できるのかということを議論すべきだと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。 黒田:株価につきましてはこのところ世界的に上昇しているというのは事実でありまして、基本的には市場参加者の将来の経済、あるいは企業収益の見通しを反映したものだというふうに思っております。逆に言いますと、市場参加者の多くが、今後も世界経済の持ち直しが続いて、企業収益も回復していくというふうに予想しているんだと思います。ワクチンに関する前向きな動きなども、こうした見通し、見方を後押ししているというふうに思います。 ただ他方で、足元で再拡大している感染症の状況なども含めて、さまざまな不確実性があるわけですので、こうした下で株式市場のボラティリティは依然としてどこの国も高いわけですので、やはり引き続き日本銀行としても内外金融市場の動向を注視していきたいというふうに思っております。 現時点で、大幅な金融緩和の出口を検討するのは時期尚早だと思います。日本に限らず、欧米もみんな10年越しで金融緩和を続けておりますけれども、今、出口に向かっている中央銀行はありません。 朝日新聞:じゃああともう1つぐらいですね。