50代の爪、なぜ弱くなる?「爪は老化しません」専門医が明かす二枚爪、割れ爪の驚きの原因と育み方
50代に増えてくる爪のお悩み。年齢とともに爪に変化を感じている人が目立ちます。強くて健康的な爪を作るための方法を、専門家の視点から繙きました。 お話を伺ったのは… 齋藤昌孝先生(麻布台クリニック 院長)●皮膚科専門医。皮膚科領域のなかで爪の疾患や治療を専門にする日本でも数少ないスペシャリスト。慶應義塾大学病院で“爪外来”を担当し、現在は麻布台クリニックで地域医療にも力を入れている。
その爪の悩みは老化ではなく、爪のお手入れ不足です
「爪の縦線が目立つようになってきた」「爪が縦割れしやすい」──。年齢とともに爪の変化を感じている人が多いようです。そこで爪のエイジングについて、皮膚科医の齋藤昌孝先生にお話を伺ったところ、返ってきたのは実に意外な答えでした。 「爪には、老化による顕著な変化は認められません。少々縦線が目立ってくる以外は、個人差のほうが大きいのです。つまり20代で爪が弱い人もいれば、90代で爪が健康な人もいます」 爪の状態が年齢と関係しないとは驚きですが、実際に読者のほとんどは「年齢とともに爪が弱くなってきた」と感じています。これが年齢のせいでないのだとしたら、爪が弱くなる理由とは何なのでしょう? 「まず縦線に関していうと、爪の下の皮膚は平坦ではなく“畑の畝”のような凹凸があり、爪と嚙み合うように接着しています。この“畝”が爪の表面から透けて見えるのが、縦線の正体です」
爪が弱くなる最大の原因は、意外にも“乾燥”でした
縦線は幼少期から誰の爪にも存在しますが、年齢とともに目立ってくる理由は「爪が乾燥するためです」と、齋藤先生。「この乾燥こそ、あらゆる爪の悩みにつながっています。肌の乾燥は皆さん自覚していますが、“爪が乾燥している”とは考えにくいようですね」 解剖学的には爪は皮膚の一部であり、ケラチンというタンパク質が鱗のように何層にも重なって、爪の厚みを作り出しています。「爪は本来、適度な水分を含んでいるものです。爪と皮膚が接着した部分では下の皮膚から水分が供給されて、爪にも柔軟性があります。一方、爪が伸びて皮膚から離れてしまった先端は水分が供給されず乾きやすい。この乾燥した爪に何かが触れるなどして外圧が加わると、二枚爪や欠ける原因となります」