自分で考えて判断する力、将棋で伸ばせるか?…「将棋教室ラボ」で児童らが棋士と「仮説」を検証
将棋が強くなれば、自分で考えて判断する論理的思考力を得られるのではないか。そんな「仮説」を立て、将棋をあまり知らない児童が、棋士と一緒に将棋を学ぶなかで、論理的思考力向上に効果があるのか検証する「将棋教室ラボ・正解がない問いを、考える力」(主催・東急、協力・SAPIX小学部、東急キッズベースキャンプ、日本将棋連盟)が30日、横浜市で行われた。中村太地八段が特別講師を務め、将棋の9枚落ちの対局で子供の思考プロセスを確認した。(吉田祐也) 【写真】盤を使い、対局を重ねるなかで子供たちは上達した(30日、横浜市で)=若杉和希撮影
講師の北尾まどか女流二段が小学3年の児童らに中村八段を紹介し、9枚落ちで中村八段と対戦した。数週間前まではルールを知っているくらいだった子供たちは▲2六歩から▲2五歩と伸ばして飛車を活用するなど、北尾女流二段を「王道の指し方」とうならせた。子供らは馬を自陣に引きつけ、中村八段は「格言通りの指し手が来て、びっくりした。すごい」と褒めた。ただ、中村八段は力を発揮して入玉し、「引き分け」に持ち込み、子供たちに勝負の厳しさを伝えた。
中村八段は悔しそうな子供たちに「相手がどんな考えで、その手を指したのか。自分の指した手だけでなく、相手が何を狙っているのか読むことが大切です」と金言を授けた。その後は、駒得・駒損の概念を学び、金や銀のロジカルな使い方を中村八段が教えた。子供たちは1局ごとに上達し、中村八段は「指し手の意味をくみ取る力を感じた。子供たちの思考力アップにつながるのではないか」と話した。
論理的思考を検証する「将棋教室ラボ」は10月から12月まで行われる。3か月の短期間で子供は、どこまで将棋の理解を深め、強くなれるのか。中村八段は「棋士の思考の可視化にもつながる取り組みだと思う」と語った。