北川ひかるが試合中、感情を露わにした激しい“ジェスチャー”の意味。カウンターで重要なのは前線の動き出しなのだが...【パリ五輪】
奪っても苦し紛れのクリアに
日本女子代表は現地8月3日、パリ五輪の準々決勝でアメリカ女子代表と対戦し、90分では決着つかず、突入した延長戦の前半に失点して0-1で敗戦。3大会ぶりのメダルには届かなかった。 【画像】なでしこJのアメリカ戦出場17選手&監督の採点・寸評。攻守で存在感の守屋やキャプテン熊谷らを及第点に 一発勝負の決勝トーナメント初戦。キックオフ直前にはベンチ前で選手とスタッフが大きな輪を作って円陣を組み、解かれると選手たちはピッチの中に駆け足で入っていった。 想定はしていたが、やはり相手にボールをもたれる時間が長くなった。しかし、アメリカはサイドから日本陣内に持ち込んでも、シンプルにクロスは上げず、行き詰まると最終ラインに戻して組み立てなおした。 そのため、なでしこジャパンにとっては主導権を握られてもそこまで怖さはなく、ゴール前に守備ブロックを組んで難なく守れていた。 問題は自陣でボールを奪った後、いかに前進して相手ゴールに迫るか。しかし、前の選手の動きが少なくパスコースがないため、苦し紛れのクリアになったり、奪っても判断が遅れ、再び相手にかっさらわれるシーンが散見された。 選手もそれを実感していたのか、後半の北川ひかるのジェスチャーにも表れていたように見えた。自陣の左サイドでボールを刈り取り、前を向いた北川だったが、出す場所が見当たらず、しょうがなくバックパス。直後には手を広げて前線の選手に激しくアピールして感情を露わにしていたが、これはもっと動いてほしいという要求だったのではないか。 カウンターを狙うためには、前の選手がいかに予測して、先に動き出すかが重要になる。アメリカ戦でまったくなかったわけではないが、それが少なかったのも事実だ。 南萌華が試合後、「少ないチャンスを決めきれなかった」と肩を落としたように、強敵を相手にしたときこそ、少ない攻撃の機会をいかにゴールへと結びつけられるかが大切だ。今大会で得た経験を糧に、3年後のワールドカップに向け再び動き出すなでしこジャパンの今後に期待したい。 取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)
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