《ブラジル》流れ弾でリオ市民2人死亡=「バス停で射殺されるなんて」
リオ市内を通る幹線道路「イエローライン(Linha Amarela)」で18日早朝、窃盗グループと警察の間で銃撃戦が起き、市民2人に流れ弾が当たり、死亡する事件が発生した。そのうちの1人、デボラ・ヴィラス・ボアス・ダ・シルヴァさん(27歳)は、産休から仕事に復帰して1カ月も経っておらず、バスを2本乗り継いで仕事先に向かう最中の出来事だった。彼女は生後7カ月の娘を残し、犯罪の犠牲となったと18日付G1サイトなどが報じた。 日の出前の午前5時半頃、事件は同市北部ボンスセッソにある7番出口付近で発生した。4人組の強盗団が車から降り、バイクに乗車していた2人を脅し、そのバイクを盗もうとした。賊の1人はライフル銃を持っていたという。 その光景を目撃した警官が応戦し、銃撃戦へと発展した。バイクの乗員2人は無事だったが、付近のバス停に座っていたデボラさんと、315番バスに乗っていたジョゼ・カルロス・ミランダさん(64歳)に流れ弾が当たり、ほぼ即死だった。 犯罪グループの一人、アレクサンドロ・デ・アンドラーデ・ヴェナンシオ容疑者(24歳)も負傷し、その場で逮捕されたが、他の3人は逃走して行方が分かっていない。 デボラさんは昨年11月13日にマリア・アリスちゃんを出産したばかり。リオ市北部のブラス・デ・ピナ地区に住んでおり、毎朝夜が明けないうちに家を出て2本のバスを乗り継ぎ、西部バーラ・ダ・ティジュカまで通勤していた。この日は夫のワラセ・ソウザさんが彼女をバス停まで送り届けたが、彼が職場に到着した時に妻が亡くなったと知らされたのだという。 ワラセさんは、「なぜ妻が犠牲にならなければいけなかったんだ? 今日は彼女だったが、明日は私かもしれないし、他の誰かかもしれない。バス停で誰かが射殺されるなんて想像できますか?」と涙を流しながら訴えた。 マリア・アリスちゃんは母親を探し、よく泣いているという。休日、母娘常にずっと一緒で、色々な経験を共にしていた。デボラさんはまだ母乳を与えていたといい、当面の間、叔母の協力を得て、マリア・アリスちゃんの面倒を見ているのだという。 ワラセさんは「娘は私を必要としているし、力を与えてくれる。そして妻も私に頑張る力を与えてくれる。これは家族や友人から言われた言葉だ。周りの支えに感謝しつつ、明日への希望を持ち続ける」と述べた。 もう1人の犠牲者であるジョゼさんの兄ジルマールさんは「トンネルの先に光はない。毎日のようにこのような事件が起きているが、当局の対策は十分ではない。これが最後ではない。犯罪は蔓延しているのだから」とコメントした。 警察は引き続き、この事件の他の容疑者メンバーの身元特定と、逃亡先の捜査を続けている。