NTT西日本「トップ辞任後」に試される改革の真価 新規事業の育成託された「異色社長」は引責辞任
これらの事業を“収益柱”に伸ばす工程は、4月から新社長に就く北村亮太氏の手に委ねられる。 1988年に分割前のNTTに入社した北村氏は、森林氏よりも入社年が4つ下。NTT東と持ち株会社であるNTTでの勤務経験が長く、NTT西には2018年から4年間、取締役として勤めたこともある。 まさに、これまでのNTTグループらしい順当な人事ともいえる。海外畑という異色の経歴を持ち、当初から“攻め”の姿勢を強く打ち出していた森林氏と対比すると、まずはセキュリティ対策などの“守り”を優先したという見方もできるだろう。
折しもNTT西が本社を置く大阪では、2025年に「大阪・関西万博」も控えている。NTTグループにとっては、社運をかけて開発・社会実装に取り組む新たな通信技術「IOWN構想」を、国内外に向けて披露する場となる。NTT西は万博会場の通信環境構築などの重大な役割を担うこととなり、NTTグループの顔に泥を塗るようなミスは決して許されない。 セキュリティの強化や万博対応、そして森林氏が遂げられなかった新規事業の育成を着実に実行し、NTT西の変革を導くことができるか。新社長が背負う任務は大きい。
高野 馨太 :東洋経済 記者