長期金利が1%に上昇、13年5月以来-日銀YCC下の上限到達
(ブルームバーグ): 長期金利が異次元緩和が始まった直後の2013年5月以来となる1%に上昇した。根強いインフレ圧力と為替相場の円安で、日本銀行が早期に国債買い入れの減額や追加利上げに踏み切るとの観測が背景。40年国債入札が弱い結果となり、長いゾーンを中心に売り圧力が強まった。
22日の債券市場で新発10年物国債利回り(長期金利)は一時1%と、21日から2ベーシスポイント(bp)上昇した。
1%は日銀が3月にマイナス金利を解除しイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)を撤廃するまで上限のめどとしていた水準で、到達は13年4月から10年以上続いた異次元緩和の終わりを象徴する。
植田和男総裁は4月26日の会見で、物価が見通し通りに上昇すれば短期政策金利を徐々に引き上げていく意向を示している。国内金利の上昇は外債中心の資金運用を行ってきた国内投資家の円債回帰につながり、グローバルな資金の流れに影響を与える可能性がある。
大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは「日銀が13日に国債買い入れオペを減額したことがサプライズで、今後も減額が続くとの懸念が強まっている」と指摘。債券市場の地合いが悪く、買いの手が薄いため「1%で金利上昇が止まるのか不安がある」と述べる。
22日行われた40年利付国債の入札は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が2.21倍と前回から低下し、最高落札利回りは2.27%と市場予想(2.26%)を上回った。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは「金利先高観の高まりで弱めの結果となった」と指摘。「日銀のオペ減額に対する臆測が金利の不安定さにつながっている」と語る。
長期金利は黒田東彦前日銀総裁が異次元緩和を始めた直後に1%を付けて以来、一貫して低下傾向をたどり、16年1月のマイナス金利導入後はマイナス圏に突入した。同年9月に短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%とするYCCを開始。その後は金利機能の低下や海外金利の上昇を受けて長期金利の変動幅を徐々に拡大してきた。