「本を読むよりYouTube」「子どもと遊ぶよりネトフリ」になってしまう恐るべき理由
「良書を読むより、ユーチューブを観てしまう」「子どもと遊ぶよりNetflixを見ていたほうがいい」……。こうした感覚に陥るのは、脳が新奇性の高い“超刺激”を際限なく求めてしまうからだという。そんなヒトの脳の仕組みについて、クリス・ベイリー著、児島修訳『CALM YOUR MIND 心を平穏にして生産性を高める方法』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・編集してお送りする。 【この記事の画像を見る】 ● ドーパミン・バイアスを 求めるヒトの脳 脳は常に新奇性を求めている。経験が目新しいほど、脳は多くのドーパミンを分泌する。 インターネットがどれだけ目新しいかを確かめるために、SNSにアクセスして、目にした投稿がどれだけ目新しいか(自分にとってどれだけ新鮮で意外なものか)を考えてみよう。SNSを使っていない人は、ニュースサイトをチェックしてみてほしい。このとき、アプリに引き込まれないようにできる限り努力すること。 たとえば、インスタグラムにアクセスして、自分向けにパーソナライズされた「発見」タブをタップし、表示された画像がどれだけ目新しいかを考えてみよう。つい引き込まれて、数分間無心にスクロールしてしまったという人は多いのではないだろうか(僕もそうだ)。フェイスブックやツイッターにアクセスして、最新のニュースや流行りのネタ、心を打たれるような記事を見つけたら、それらがどれくらい目新しいかを考えてみよう。 たまたま引き込まれてしまったら、パーソナライズされたアプリを使うとき、注意力をどれだけコントロールできるか考えてみよう。インターネットでは、意図していたことはすぐに手のひらから滑り落ちてしまう。 ネット上の目新しい情報は、人の恐怖心や欲求、不安に訴えかけるものだ。この情報は神経を刺激し、心の平穏を遠ざける。ネットに夢中になっていると、心の平穏がもたらす静かな満足や喜び、くつろぎには魅力が感じられなくなる。 その代わりに、僕たちはドーパミンに引き寄せられる――たとえ、ドーパミンを促す習慣が長続きする意義や大きな楽しみを与えてくれなくても。静かにお茶を飲むことは、フェイスブックの画面をスクロールして刺激を得ることに負けてしまう。後で虚しさを覚えてしまうかもしれないのに、ドーパミンを刺激する行動を選ぼうとするのだ。 人は、たとえ後で不安になり、長期的な目標に反することになっても、今この瞬間にドーパミンを最大化しようとする。僕は、これを脳のドーパミン・バイアスだと考えている。