「本を読むよりYouTube」「子どもと遊ぶよりネトフリ」になってしまう恐るべき理由
この化学物質は、明晰な思考に役立ち、変化を起こす意欲を与え、意図的な生活を送りやすくする。それに、心を落ち着かせる化学物質を放出する習慣の多くは、同時にある程度のドーパミンも放出する。つまり、ドーパミンは常に悪者だというわけではない(特に、満足感に関する化学物質と組み合わせた場合)。成果を求めて努力することや、セイバリングと同様、すべてはバランスの問題なのだ。 遺伝は、ドーパミンの暗い側面も照らし出す。脳内のドーパミン濃度の変化に関連する疾患や障害は多数ある。パーキンソン病、ADHD、拒食症は部分的にドーパミンの低濃度と関連しているし、トゥレット症候群、精神病、一部の依存症は脳の一部の領域でのドーパミンの高濃度と関連している。依存症の場合、ドーパミンの急増が繰り返される。統合失調症や双極性障害も、ドーパミンの不均衡と関連していることが多い。 こうした遺伝的要因もあるが、注意しなければならないことがある。それは、「重要なのは、ドーパミンがどんなふうに放出されるか」ということだ。心の平穏をもたらす習慣は、バランスのとれた化学物質の混合物(ドーパミンも含まれている)を放出する。問題になりやすいのは、習慣によって放出される化学物質が、ほとんどドーパミンであるときなのだ。 これは、新奇性の強い超刺激の場合に特に当てはまる。 ● インターネットポルノは 究極的な超刺激 ドーパミンの放出量に影響を及ぼす3つの要因である「新奇性」「顕著性(直接的効果)」「遺伝」のうち、新奇性についてはすでに簡単に説明した。現代人は、人類がかつて経験したことのないレベルの目新しい刺激を与えられている。 この新奇的な超刺激は僕たちを麻痺させ、同時に不安にさせる。ドーパミンが増えるほど、そのレベルの刺激を得続けたいと思うようになり、「今、ここ」での心の平穏を感じにくくなる。昔ながらのテレビ放送からユーチューブへの転換が起こったことで、エンターテインメントは誰にとっても目新しいものではなく、1人ひとりにとって目新しいものになった。だからこそ、これまで以上に魅力的になり、抵抗しにくくなった。 この目新しさがどこよりも発揮されているのは、ウェブサイトで一番のタブーとされている、インターネットポルノの領域だ。これは書くのに気が引けるが、妙に魅力的なテーマでもある。これほど広く利用されていながら、言及することさえ禁じられているインターネット・サービスは他にない。男性の7割がポルノの常用者だが、これらのウェブサイトについて語る人はほとんどいない。