米英豪、極超音速兵器の開発促進で合意 集団安全保障体制強化、中露の脅威に対抗
【ロンドン=黒瀬悦成】米英とオーストラリアの安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」は、極超音速兵器および関連技術の開発と試験、評価を促進するための協定に署名した。英国防省が19日までに明らかにした。極超音速兵器の開発と配備を進める中国やロシア、北朝鮮などに対抗し、米英豪の集団安全保障体制を強化する狙いがある。 英国防省によると、開発する極超音速兵器は陸海空から発射可能で、音速をはるかに上回る速度で飛行する長距離打撃ミサイルなどを想定している。 米国防総省の発表では、協定には2028年までに最大で6回にわたる3カ国の共同飛行実験を実施し、そのために2億5200万ドル(約390億円)を投じることを盛り込んだ。 オーカスは3カ国連携の柱として、非核保有国である豪州に米原子力潜水艦を配備した上で、英豪両国で豪州向けの次世代原潜を開発・配備することも打ち出している。 米英豪による兵器の共同開発は、各国の軍事産業の基盤を強化し、各国間の兵器調達の障壁撤廃につながる効果も期待されている。 ヒーリー英国防相は極超音速兵器の共同開発で「戦場において敵対勢力への優勢の維持を可能にし、ますます複雑化し危険が増している世界における平和と安定の維持に貢献できるようになる」と強調した。