紙の健康保険証がついに発行停止。批判も多いけど、実は......病院や薬局はもちろん、救急搬送時にも役立ちます! マイナ保険証のあえて"メリットだけ"超速解説
――それはどういった行為なのでしょうか? 三上 「保険証のなりますし」です。他人の保険証を使って受診し、3割負担を悪用して薬剤を不正に入手する不正行為があります。 マイナ保険証の受付では暗証番号もしくは、顔認証での確認が行なわれます。なので、現状ではマイナンバーカードを盗難・紛失した場合でも、なりすまし行為を防げる仕様となっているのです。 ――実際に病院でマイナ受付を利用してみると、ATMでお金を出し入れするレベルの簡単操作。これで、薬の待ち時間が短縮されることも? 三上 現状では待ち時間が短縮されるようなことはありません。病院・薬局側が患者さんの情報を的確に素早く確認でき、それによって薬の処方ミスや重複投薬などをなくせることが重要なのです。 一方で「Amazonファーマシー」のようなオンライン薬局もマイナ保険証の対応を先月から行なっており、こういったサービスで病院からもらった電子処方箋を利用すれば、待ち時間なしで薬を自宅で受け取ることが可能です。 ――現在、厚生労働省は薬剤師がいないコンビニでの市販薬販売を解禁する方針を進めています。こういった取り組みにもマイナ保険証は関連するのでしょうか? 三上 まだ詳細は発表されていませんが、購入するにあたって薬剤師とのオンライン相談や本人認証が必要となるなら、それにマイナ保険証を活用することも考えられます。 それこそセブン-イレブンの「セブン銀行ATM」はマイナンバーカードを読み込ませて、マイナ保険証の利用開始手続きを行なえる機能も実装されていますから。 ――そして、救急搬送時での活用もあるそうですが? 三上 救急隊員がマイナ保険証を専用カードリーダーで読み取り、患者さんの過去の診療や薬剤情報を、その場でチェックすることも可能になります。これは現在、実証事業が行なわれており、2025年度には全国で展開する予定となっています。 これを行なうには患者さんの口頭での同意が必要となりますが、今後は災害時の緊急医療でも活用が大いに期待できるでしょう。 ――ここまでメリットを聞いてきましたが、やはり気になるのがトラブル。これはどういったものが予想されますか? 三上 実は紙の保険証に関しても最長1年間の猶予期間があり、利用することが可能です。なので、カードリーダー端末を利用したマイナ保険証への切り替え時や、慣れない端末の操作での混乱はまだまだあるのではと思っています。 ――ちなみに、厚生労働省の発表によると、紙の保険証を廃止することでのコスト削減は年間100億円前後との試算。これも十分なメリットだと思います! 取材・文/直井裕太 写真/デジタル庁