「変形性関節症」などの痛みを治療する「再生医療」はご存じ? PRP療法とは?
関節や靱帯の痛みを治療する「PRP療法」のメリット・デメリットを医師が解説
編集部: PRP療法の特徴を教えてください。 中谷先生: 治療直後から普段の生活が送れますし、日帰りでの処置が可能です。さらに、ご自身の血液の細胞を使うので、拒否反応やアレルギーが起こりにくく、何度でも受けることができるのもメリットです。 編集部: では逆に、注意が必要な点は? 中谷先生: 現時点では保険が適用されないため費用が自己負担となる点や治療効果に個人差があり、人によっては、期待していたような効果が感じられないことがあります。また、PRPを投与したあと、数日間痛みや熱感、腫れを伴うことがあります。 編集部: 投与したあとの痛みは強いのでしょうか? 中谷先生: 個人差が大きく、痛みの訴えは人それぞれですが、当院では「痛くてたまらなかった」といった声は今のところ聞いたことはないですね。投与後数日間、少し曲げ伸ばしがしにくい程度という方が多いです。 編集部: 痛みを軽減させるコツなどはありますか? 中谷先生: コツと言って良いかは分かりませんが、痛みの強い方には痛み止めを処方することもできます。私の経験上だと、関節のPRP注射を受けた方で、そこまでの痛みを訴える方はほとんどいないですね。 アキレス腱など、腱への投与後であればたまにいらっしゃいます。また、可能な場合は、投与後数日間は、投与部位を大きく動かすようなタスクを前もって減らしておくのも良いかと思います。
PRP療法を受ける場合の費用は何回でいくらぐらいかかる?
編集部: PRP療法の費用について教えてください。 中谷先生: 自費診療なので、医療機関によってばらつきがありますし、PRPの種類などによっても異なります。当院の場合は関節注射だと片側で5万円、両側で8万5000円で、筋・腱・腰への注射は4万円です。 学生の方や2部位同時に行う場合は、もう少し安くしています。医療機関によって異なりますので、事前に確認することをお勧めします。 編集部: 保険診療として認められていないというのは少し心配です。 中谷先生: そういうお気持ちもわかります。補足すると、保険適用されていないのは「ほかの治療と比べてリスクが高いから」「副作用が大きいから」といった理由ではありません。 新しい治療法であるため、治療を受けた方の数が十分ではなく、認可を受けるためのデータが揃っていないという理由が大きいのです。 しかし、このPRP療法は、国の認可を受けた施設・医師にしか許されていない医療で、例えば当院は法律に基づいた「再生医療等提供計画」を提出し、「第2種・細胞培養加工物(PRP)の関節内投与」と、「第3種・細胞培養加工物(PRP)の筋肉・腱・靱帯への投与」の許可を得ています。 国の認可を受けたうえで治療を行っているため、安全性については安心していただいて結構です。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。 中谷先生: ここ数年、再生医療という言葉が一人歩きし「魔法の注射」と勘違いされているような印象を受けますが、効果には個人差があったり、また修復される部分とされない部分もあったりします。 PRP療法については、私はあくまで「状態を今より良くしていくもの」と考えています。その効果を最大限に得るためには、注射を打って終わりではなく、生活習慣や生活環境の見直し、体重コントロール、リハビリテーションも必要です。 それらをきちんとクリアしていけば、痛みや動かしにくさは改善すると考えています。痛みに悩んでいる人は、検討してみてください。