「2000万円問題」が話題になりましたが、本当に2000万円で足りるのでしょうか?定年前の60代夫婦ですが出費が多く、老後の貯金が不安です…
出費が多いなら節約できる部分を考える
老後の貯金に不安を覚える場合、30代や40代からであれば資産形成をして貯金を増やす方法もありますが、定年退職間際だと貯金がなかなか貯まりにくいケースもあるでしょう。特に、出費が多く貯金ができなかった場合は、節約できる項目がないか見直しが必要です。 前述した総務省統計局の調査によると、平均消費支出25万959円のうち「食料」が29.1%と最も多い割合を占めています。そのため、まずは食費で無駄な出費がないかチェックしてみましょう。外食が多いなら、外食回数を減らすだけで節約できる可能性があります。
2000万円の貯金ができているなら年金の繰下げ受給を検討する
2000万円の貯金があれば、令和5年度の平均金額なら不足分を補えます。しかし、それでも不安を感じる場合は年金の繰下げ受給を検討しましょう。 年金の繰下げ受給では、通常65歳に受け取る年金の受給開始時期を遅らせた月数に応じて、0.7%ずつ増額した金額を受け取れるようになります。日本年金機構によれば最大75歳まで繰り下げられ、75歳で受け取り始めると受け取れる年金は84%増額した金額です。 例えば、同じく日本年金機構によると令和6(2024)年度の老齢基礎年金と老齢厚生年金を合計した夫婦の標準的な受給額は月23万483円です。夫婦ともに75歳まで繰り下げると「23万483円×184%」で月に約42万4089円受け取れるようになります。 必ずしも最大まで繰り下げる必要はないので、繰下げ受給は老後のライフプランも考慮して決めましょう。
2000万円あれば平均額には足りている
2000万円問題は平成29年の不足額を基にした試算のため、令和5年度の平均支出と収入に照らし合わせると必要な金額は異なります。令和5年度では不足金額が年に45万4992円のため、貯金が2000万円できていれば30年の不足分にも足りる計算です。 しかし、普段から出費が多かったり万が一に備えたかったりするため、2000万円では不安に思う方もいます。少しでも費用負担をおさえたい方は、節約できる部分の見直しや年金の繰下げ受給も検討してみましょう。 出典 金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」 1.現状整理(高齢社会を取り巻く環境変化) (2)収入・支出の状況 ア.平均的収入・支出(10ページ)、(3)金融資産の保有状況(16ページ) 総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2023年-(18ページ) 日本年金機構 老齢年金の制度 年金の繰下げ受給 日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部