ロシア軍がヘルソン市でドローンによる「人間狩り」 国際法違反の蛮行
あからさまな国際人道法違反を繰り返すロシア
戦争前に約36万人だったヘルソンの人口は8万人ほどまでに減っている。ヒューマン・サファリの目的は、住民の間に恐怖を広げて彼らを避難するように仕向け、それによってヘルソンを「グレーゾーン」にし、ロシア軍部隊が気づかれずに潜入できるようにすることだ。 ■証拠のある国際法違反 ドローンからの防御の一助になるものにジャマー(電波妨害装置)があり、ヘルソン市は緊急のドローン対策費として800万フリブニャ(約2900万円)を計上している。しかし、一般的なジャマーは1台数千ドルする一方、せいぜい数百平方メートルのエリアしか守れないので、この金額ではまったく足りない。 より長い時間軸で言えば、ロシア軍がヘルソンでやっていることは戦争犯罪として捜査の対象になる事案である。ジュネーブ条約は、民間人に対する故意の攻撃を明確に禁止している。ドローンでヘルソン市民らを攻撃している犯罪実行者たちは犯罪の証拠をみずからネットにアップしており、追跡するのは容易なはずだ。 とはいえ目下、ヘルソンの住民たちが必要としているのはドローンに対する保護の強化だ。ウクライナのほかの地域の防空網と同様、国際的な支援はヘルソンでも十分な防御を提供できていない。ロシア軍のドローンの探知・迎撃にはウクライナ軍もおそらく優先的に取り組んでいるものの、ヘルソンは数多くある前線のひとつにすぎない。 ドローンは戦闘を精密で効果的なものにする。だが、悪意のある者たちはその精密さを、罪のない人たちを意図的に攻撃するために利用している。 秋を迎えて、ヘルソンで木々が落葉していることも状況をさらに悪化させつつある。落ち葉は地面に散らばった地雷を覆い隠してしまうことがよくあり、葉が落ちた木は、人々がドローンによる「狩り」から少しばかり身を隠せる場所として用をなさなくなるからだ。
David Hambling