ロシア軍がヘルソン市でドローンによる「人間狩り」 国際法違反の蛮行
自転車で帰宅中の女性を付け回し、爆弾を落とす
キーウ・インディペンデントは典型的な事例として、2児の母であるアナスタシヤが受けた攻撃について伝えている。彼女はこれ以前にも2回、ロシア軍のドローン攻撃に遭っており、1回はドローンから必死に走って逃げ(「人生であれほど速く走ったのは初めて」と振り返っている)、もう1回は搭乗していたバスがドローンで攻撃されたという。 ヘルソンではいまでは自家用車が使われることはめったになく、バスはドローンに狙われやすい目標となっているが、自転車に乗っている人ですら襲われるおそれがある。アナスタシヤが受けた3回目のドローン攻撃もそうだった。 アナスタシヤは自転車で家に戻る途中、ドローンが上空を飛んでいるのに気づいた。全力でペダルを漕いで左折したり右折したりして逃げようとしたが、ドローンはしつこく追ってきたという。 ドローンは擲弾を落とし、それはアナスタシヤの体をかすめて足元で爆発した。彼女は爆風を生き延びたものの、詰め込まれていた金属片を浴びて歩けなくなった。小型ドローンは人を殺害するよりも負傷させることが多い。 攻撃の画像はロシア側のテレグラムのチャンネルに投稿された。投稿者は「ウクライナ軍の連中は自転車で走り回っている。(中略)この人物は重傷を負った。退避は許可されていない」と書き込み、ニヤリと笑う絵文字で締めくくっている。 ■地雷もばら撒くドローン キーウ・ポストはロシア軍のドローンがヘルソンの学校や自家用車、公共バス、救急車を攻撃した事例を集めている。 ロシア側はソーシャルメディアで、ヘルソンにあるものはすべて正当な目標だと主張してこうした攻撃を正当化している。ロシア側の投稿によれば、ロシア軍のドローンは個人を攻撃目標にしているだけでなく、ナパームのような混合物を使って火災を起こし、ある区画全体を焼き払うこともある。 擲弾の投下、焼夷剤による焼尽に加え、3つ目の攻撃方法として地雷の散布がある。ロシア軍のドローンは悪名高い旧ソ連製PFM-1地雷、いわゆる「花びら地雷」もばら撒いている。PFM-1は手のひらほどの大きさの小型爆弾だが、タイヤを破壊したり足を吹き飛ばしたりするほどの威力がある。