映画館にシニア呼び戻す「ベルモンド作品」の魅力 仕掛け人の江戸木純氏が語った企画の経緯
実は今、『夢物語その2』という続編も制作中で。それも週替わりで上映する予定です。 もともと自分は、倉田さんが企画・製作・主演を務めた1989年の映画『ファイナル・ファイト 最後の一撃』の海外セールスを手伝ったりしていて、付き合いも長いんです。 それでたまたま去年「ブルース・リー没後50周年」の企画をやったときにインタビューをさせていただいたんですが、その時に『帰って来たドラゴン』の話になり。 「倉田さんの凱旋50周年に『帰って来たドラゴン』のリバイバルをやったらどうですか?」と言ったところ「そうだね」と。
それでプロデューサー兼監督のウー・シーユエンに連絡をしたら、今は上映素材がないけど、倉田のためならつくってあげると言ってくれて。それで実現したんです。 実は世界のいろんな会社からブルーレイの権利とか買ってくれとか、売ってくれとか、そういう話がたくさん来ていたらしいんですけど、全部断ってたらしくて。でも倉田さんのためなら、ということでつくってくれた。 フィルム自体はボロボロになっているので、元素材はビデオなんです。だから完全な素材ではないんですけど、今まで日本でVHSやDVDで出ていたものより10分ぐらい長い完全版になります。
ただ追加シーンはアクションじゃなくて、香港映画ファンなら知る人ぞ知るディーン・セキっていう人のコメディシーンがほぼ10分。それでもないよりあったほうがいいんで。 フィルムからつくったきれいな映像というわけにはいかないですが、2Kリマスターというのは間違いない。伝説的な人気作なんですけど、上映素材がなかったので、これを久々にスクリーンで上映するというのはすごく意義があるし、それと同時に、新作の短編『夢物語』『夢物語2』を同時上映するというのがまた大きな意味がある。
50年前の倉田アクションの最高峰と、50年後の最新進化系、円熟のアクション。それを2024年の映画館で、同時に観ることができるというのは、ものすごく映画史的にも重要なイベントになると思います。 ■ジャッキーをブレイクさせたウー・シーユエン ――それが実現したのも倉田さんの人柄ですね。 この映画はウー・シーユエンがショウ・ブラザーズを独立したときに、倉田さんと組みたいということで一緒にやった作品なんです。ウー・シーユエンってスターを見る目がある人で。