映画館にシニア呼び戻す「ベルモンド作品」の魅力 仕掛け人の江戸木純氏が語った企画の経緯
原作を現代に置き換えて、ベルモンドがジャン・バルジャンだけでなく3役もやっていて。ちゃんとルルーシュのカメラも回っているし、フランシス・レイの音楽もあって。 ホロコーストというテーマも込めたり、戦争映画やサイコ・スリラーの要素まで入っているという。映画を10本ぐらい観たような満足感がある作品なので。円熟味を増したベルモンドの魅力も格別です。 ベルモンドの代表作というと『リオの男』とか『カトマンズの男』あたりになると思うんですが、『ライオンと呼ばれた男』なんかはサーカス出身の男が、世界各地の雄大なロケーションを背景にドラマを展開する作品で、ベルモンド自身のセルフオマージュという側面もある。そういうのをルルーシュもわかってやっているんですよね。
『おかしなおかしな大冒険』も『007』のパロディーだし、残酷なシーンはサム・ペキンパーのパロディ。最後は大暴走して、ドリフのコントみたいになっています。 監督のフィリップ・ド・ブロカは、世間では『まぼろしの市街戦』の名匠みたいに思われていますけど、本来は暴走系の映像作家。だからこの映画を観ておかないと、その後の『アマゾンの男』などもわからないと思う。「ベルモンド傑作選」を観た方ならこの作品を観ておくと全部がつながるので、ぜひ観ていただきたいですね。
ただ今回の3本は本当に簡単には揃わなかった。全部揃うまでに5年ぐらいかかったので。ここにたどり着くために今まで20本やってきたと言っても過言ではない。まさに「ベルモンド傑作選」として、本当に有終の美を飾ることができた。「グランドフィナーレ」として、一番やりたかったことがまとまったプログラムとなりました。 ■アンコール上映も実施 ――今回はこの3本以外にも上映されるのですか? アンコール上映といって、今までやった中で人気だった作品を集めて上映します。たとえば『恐怖に襲われた街』なんかは、まるっきりジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー/香港国際警察』。この作品と『華麗なる大泥棒』を足して、そのアクションを香港を舞台にしてやると、そのまんま『ポリス・ストーリー/香港国際警察』になる。