金利上昇で金融機関は丸もうけ?! 住宅ローンの仕組みを知り、自分の返済に活かすポイントを銀行員が解説!
住宅ローンの契約獲得で銀行にはいくら利益が残るのか?
基準金利と適用金利の差額が「利鞘(りざや)」で、これが住宅ローンを扱う銀行のもうけになります。 住宅ローンにおけるコスト(変動金利の場合)は、以下の計算式が一般的です。 団信コスト0.2%+貸し倒れリスク0.1%+調達コスト0.25%+管理コスト0.1%=コスト計0.65% しかし最近では、住宅ローンの適用金利が0.3%を割り込む銀行もあります。こうした銀行でも、決して赤字覚悟の商売なのではなく、「別の部分で儲けを得ている」(例・預金取引や給与振り込み指定、家族取引や運用商品販売など)のです。 ここまで説明ばかりになりましたが、銀行員としてお伝えしたいのは、住宅ローン金利が引き上げになった場合に「引き上げ金利の分だけ銀行が丸もうけというわけではない」ということです。 住宅ローンも商品と説明した通り、金利が引き上げになっても、その原価も同じだけ値上げされているので、住宅ローンにおけるもうけの幅は変わらないのです。 もちろん、返済中の人なら自分が支払う金利は増えるわけですから、負担は増加します。それを損失と考えるのはもちろん間違いではありません。 とはいえ「住宅ローン金利の引き上げ分で銀行がもうかっている」といった表現は間違っているのです。 それよりも大事なのは、金利引き上げについてしっかりと知ることで、それを自分の返済に活かす方法を探ることだと思います。こちらについて次項で詳しく解説します。
住宅ローンを返済中の人が知っておきたい3つのポイント
ここからは現在、住宅ローンを返済中の人に向けた解説となります。金利上昇時においては、以下の3つのポイントを知っておくとよいでしょう。 1.金利引き下げ交渉の「武装」をする 2.他の取引・サービスを金利優遇に活用 3.借り換えする場合も役に立つ1.金利引き下げ交渉の「武装」をする 銀行のローン金利構造を知ることで、たとえば自分の金利は「もうこれ以上引き下げは無理なのか?」を探ることができます。 例を挙げると、金利が引き上げとなったあとで「もう一度、金利を引き下げないと、他に借り換えをするぞ!」と、金利引き下げの交渉ができるのかどうか?を判断する材料にできます。 2.他の取引・サービスを金利優遇に活用 金利優遇で説明した通り、「取引の太い客」であるほど金利も優遇してもらえるのが原則です。 そこで、ここでも金利引き下げを交渉するなら、「何かのサービスを契約すれば金利を下げる(引き上げない)ことは可能か?」と、単刀直入に聞くこともできます。 一般に、銀行がありがたいと感じるのは、クレジットカードや投資運用、あるいは家族預金などです。 3.借り換えする場合も役に立つ 上記した1、2は、取引を続けながら金利を下げる交渉材料です。しかし、これは同時に他行へ借り換えするときにも使えます。 つまり、借り換えしようと考えている(あるいは借り換えしてほしいと提案が来ている)銀行に対して、どこまで金利を下げられるのか?(何を成約すれば金利をディスカウントするのか?)などを交渉する時にも役立ちます。
まとめ
住宅ローン金利の変動は銀行だけでなく、利用する側にとっても大きな影響を与えるものです。 金利の仕組みを理解し、自分に合った住宅ローンを選ぶことが大切です。 また、金利交渉のスキルを身に付けることで、より有利な条件で住宅ローンを組むことができると、銀行員の筆者はアドバイスいたします。 666bd87a905bd4cef2000000
加藤隆二