金利上昇で金融機関は丸もうけ?! 住宅ローンの仕組みを知り、自分の返済に活かすポイントを銀行員が解説!
住宅ローンの金利上昇によって返済額が上がるかもしれないのに、銀行は金利上昇分もうかるなんて不公平だ! と考えている人がいるかもしれません。本当にそうなのでしょうか? 本記事では、住宅ローンの金利や利益の仕組みを解説し、その知識を活かして住宅ローンの返済に有利になるポイントをお伝えします。(金融ライター・加藤隆二、現役銀行員) 住宅ローンの金利差0.1%で返済額はこんなに変わる!
住宅ローン金利が上昇した分、銀行はもうかるのか?!
ゼロ金利解除に始まり、いよいよ返済中の住宅ローン変動金利についても見直しが決定しました。 このような状況下で、「金利が上昇したら、その上昇分だけ銀行がもうかる!」といったタイトルの記事などが見受けられます。 しかしながら、実際のところ「住宅ローン金利引き上げは銀行だけが丸もうけ」というわけではありません。 そこで本記事では、金利に関する根拠のない予想や、先のタイトルのような誤った考えではなく、読者の皆さまに直接役立つ情報として、住宅ローン金利の仕組みを振り返り、そこから自分の返済に活かせる方法を解説したいと思います。 「定価から値引き」したものが自分の借りる金利 住宅ローンも一つの「商品」なので、当然ながら原価(元手)と利益(もうけ)があります。 住宅ローン金利は商品の「定価」のように、銀行が定めた基準となる金利(基準金利)から始まります。 この基準金利は、一般的に「店頭表示金利」や「店頭金利」と呼ばれ、変動金利の場合は短期プライムレート(短プラ)をベースに銀行が決定します(ネット銀行の場合は、市場金利やコストを勘案して独自基準で決定)。なお、固定金利の場合は短期プライムレート変動の影響は受けません。 住宅ローンの金利は以下の計算式のように、「定価から値引き」したものが自分の借りる金利(適用金利)となります。 (1)基準金利(定価) ー (2)金利優遇(値引き)= (3)適用金利 例)2.475% ー 金利優遇2.13% = 0.345% (1)基準金利:住宅ローン金利の「定価」。ネット銀行は独自基準で、メガバンクなどの変動金利は短プラをもとにして銀行が決める。「店頭表示金利」「店頭金利」とも呼ばれる (2)金利優遇:基準金利から引き下げる値引き幅のこと、(a)属性や(b)取引内容で顧客により異なる (a)属性:職業(公務員、会社員、自営業)や年収などで差別化される (b)取引内容:給料振り込み指定、家族の預金、投資や運用の残高など取引が「太い」ほど優遇される (3)適用金利:実際に顧客が支払う金利のこと。がん、三大成人病など特約付団体信用生命保険では、一般に0.2%程度の保険料上乗せで適用金利が上がることがある