インドが日本の人手不足救う 14億人の活力、介護からITまで人材の宝庫
国内の人手不足の深刻化などから、企業で外国人労働者を受け入れる動きが進んでいる。外国人労働者の最大勢力は、かつての中国から近年はベトナムに移っているが、彼らも母国の経済成長に伴い、日本を目指さなくなるとの見方もある。こうした中、人材の新たな供給源として注目されているのが、約14億人と世界一の人口を誇るインドだ。現状では日本で働くインド人はわずかだが、ITなどの強みを持つ人材もおり、受け入れが進む可能性もある。 【グラフで解説】日本の外国人労働者は増加している ■「特定技能」の協力覚書締結 「日本とインドの人材協力の余地は大きい。日本側の働き手の需要に対し、インドは即戦力の人材を直ちに供給できる」。大阪商工会議所が5月14日に開いた「インド人材セミナー」で、在大阪・神戸インド総領事館のニキレーシュ・ギリ総領事は、インド人材に関心を持つ日本企業の関係者らを前にこう語った。 ギリ氏は、インドが英国からの独立100周年となる2047年までに先進国入りを目指していることを強調。「歴史的な教訓から、これからインドは先進国が直面しているものと同じ課題に直面する」と述べ、インドの急速な都市化や工業の自動化、教育の拡充、高齢化社会など想定される課題の解決に、日本社会を学んだインド人に活躍してもらいたいとした。 セミナーでは、実際にインド人を雇用している日本企業の関係者が現状を紹介。日本で働く外国人労働者はベトナム人が20年から4年連続で1位となっているが、近年はベトナム人の犯罪が急増するなど「素行の悪さ」が問題視され、別の国を探す企業が多いことも明らかにされた。 日本でインド人材の受け入れが進んでいなかったのは、人材の送り出しと日本での受け入れ環境が整備されていなかったことが大きいとされる。日本で働く上で求められる能力が伴っていない人材も少なくなく、そうした人たちはインド近隣や英語圏の国々で働くことが多いといわれる。 日本とインドは21年、労働力不足に対応する「特定技能」に関する協力覚書を締結。インド人材の受け入れ態勢が整いつつある。 ■優秀層は米国や香港へ