引退を考えていた広島・黒田は来季も勝てるのか?
広島の黒田博樹(40)が、国内最高年俸となる6億円プラス出来高払い(いずれも推定)で契約更改を行い、20年目のシーズンに突入することが決まった。前田健太(27)が、ポスティングでメジャーへ消えるチームにとっては、大朗報。それでも「燃え尽きた部分もあった」と、引退も頭がよぎり、ギリギリまで去就に悩んでいた黒田は、開幕時に41歳になっている。黒田には早くも開幕投手の声さえ挙がっているのだが、凱旋イヤーに11勝を刻んだ“男気エース”は、果たして来季も勝てるのか。1年間、ローテーションを守ることができるのだろうか? 野球評論家の池田親興氏は「勝てるのか?ではなく勝たなければならないのが、黒田の置かれた立場だろう。プロ野球選手の1年は、サラリーマンの4年に相当すると言うのが、僕の意見。それくらい肉体年齢は落ちる。黒田のピッチングスタイルとしては、力で押すのではなく、ツーシームを軸にした駆け引きの投手。その分、大きな影響はないと見るが、ただ駆け引きの投手だから、どうしても球数が増えてメンタルの疲れも増す。彼が、進退を決めるときに、モチベーションを口にした理由もよくわかる。 いかに黒田が1年間、心身共に体調を維持していくかがカギを握るのだろう。それを助けるのが打線との関係性。先に点を取ってもらえれば、駆け引きにも余裕が生まれ、球数も減るし勝ち星も増える。精神的負担は軽くなる。おそらく150イニング以上は投げるだろうから、勝ち負けは打線次第。ルナが入ったことで打線が活性化すれば2桁は、勝てるだろうし貯金を5以上作れるのではないか。いずれにしろ黒田にとって覚悟のシーズンになる」という意見。 今季の成績は、26試合169回3分の2を投げ、防御率2.55.11勝8敗の成績を残した。5月に右足首を痛め、7月にも、右足首、肩の違和感でローテーションを飛ばしたが、大きな離脱はなく、年間を通じてローテーションを守った。打球を右手に受けたこともあったが、何食わぬ顔で次の先発を守ったし、中4日登板も2試合あった。まさにフル稼働。勝ち負けのつかなかった7試合の勝敗が4勝2敗1分けだったことを考えると、黒田の今季の存在感がよくわかるだろう。 しかも、8つの負けのうち1点差負けが2試合、2点差負けが3試合。池田氏の指摘するように、これらの勝ち負けが、打線の奮起で逆に転んでいれば16勝3敗というとんでもない数字になっていた。CS出場も果たせていた。だが、いかんせん、チーム打率.246は、リーグ最下位。規定打率に到達したチームのトップが新井貴浩の.275なのだから援護らしい援護はなかった。