引退を考えていた広島・黒田は来季も勝てるのか?
だが、今季中日でクリーンナップを任され、打率.292、8本、60打点の結果を残したルナがチームに加わる。過去3年間で、ほぼ打率3割をマークしてきた実績を考えると、ルナが、打線に波及効果を与える可能性は期待できるだろう。そうなると黒田の勝ち星にも跳ね返ってくる可能性も高まるのだ。 ただ、今季の黒田の防御率の変遷を見てみると、3、4月が2.73、5月が4.07、6月が1.47、7月が2.08、8月が4.10、9、10月が1.49と波があった。調子のよかった翌月に反動が来ている。池田氏の指摘する球数の影響なのだろうか。フィジカルを鍛え、元来、頑丈な方だが、今季は右足首を痛めるなど、黒田が大事にする「心技体」に、ガタが出始めていることも否定できない。引退に心が動いたのも、その「心技体」のバランスに疑問を感じたからだろう。 また、北京五輪チームのチーフスコアラーを務めていた三宅博氏(現・岡山商科大コーチ)は、「日本人のバッターが見たことのなかったようなツーシームで席巻したが、来季は今年の後半以上に相手に研究をされる。またコントロールは、年齢を経ても変わらないだろうが、ツーシームが使えるのは同じような軌道で力のあるストレートがあるからこそ。それをどこまでキープできるかも不安材料。ただ逆に、黒田が相手バッターの特徴をインプットできたというプラス材料もある。何しろ、その姿勢が、若手投手やチーム全体に与える影響が大きいピッチャー。黒田がチームのマイナス戦力となることは考えられない」と、1シーズンを終えたことによって生まれる光と影を指摘した。 残り7勝で日米通算200勝に迫っている。 「やる以上はひとつでも多く勝たないといけないし、勝ちたいと思っている。それもひとつのモチベーション。間違いなく優勝を目指せるチームになれると思っている」 毎試合、「この試合が最後になってもいい」と、全力で、魂をぶつける黒田が、マエケン無き後のカープの浮沈を一身に背負っていることだけは間違いない。