<The追跡>関税200%? トランプ氏の“再選”日本企業の対応は?【WBS】
今回のThe追跡ではトランプ氏が選挙中に打ち出していた関税に注目しました。予測が難しいトランプ氏の言動。政策の行方を日本企業も注視しています。 「米中対立が深まる関税の問題もある。中国に進出している日本企業、この立ち位置がいろいろ微妙になる」(日本商工会議所の小林健会頭) 「米国が世界経済、地政学に及ぼす影響は非常に大きいものがある」(ソニーグループの十時裕樹社長) アメリカを含め世界に向けて製品を輸出している企業では、トランプ政権の影響をどう見ているのでしょうか。 大江麻理子キャスターが訪ねたのは、東京・八王子にある「コスモ計器」。同社の「エアリークテスター」は空気圧を利用して漏れの有無を確認し、密閉が必要なパーツの品質を調べる機器で、国内の全自動車メーカーで使われています。さらに、現在アメリカ、アジア、インドなど海外に13カ所の拠点を持っています。製造拠点は八王子で、ここから世界に輸出しています。 「トランプ大統領がまた誕生することになったが、環境がどう変化すると見ている?」(大江麻理子キャスター) 「チャンスとすると、エンジンを推奨すると言っているところ。コスモ計器の製品はエンジンのいろいろな部品に使われている。リスクとして見ると関税の問題」(「コスモ計器」営業本部の髙木千秋副本部長) トランプ氏は国内産業を保護するため、全ての輸入品に10~20%の関税をかけると主張しています。関税分が製品価格に上乗せされるため、アメリカの競合との価格競争で不利になります。 さらに気になる発言もあります。トランプ氏は「関税を200もしくは500%かける。わが国でメキシコの自動車を売ってほしくない」とメキシコからの輸入車に200%の関税をかけると訴えています。これにはメキシコに生産拠点を持つ日本の自動車メーカーからも警戒の声が上がっています。 「すぐに生産移管はできない。見極めながら展開したい」(「ホンダ」の青山真二副社長) 「中長期的にわれわれが進めている方向は変わらない予定。よく注視して事業の方向を見ていきたい」(「日産」の内田誠社長) コスモ計器も影響を見極めているところです。先週日本に来ていたコスモ計器のメキシコ現地法人のデイビット・ヘルナンデス社長はトランプ政権の影響について「口だけだと思っている。高い関税を長く続けるのは難しい。メキシコ製品に高い関税を課すとアメリカの自動車産業にも悪影響があるからだ」と話します。 トランプ氏は2017年からの1期目のときにも、アメリカ第一主義を訴え、メキシコなどとのNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しを公約にしました。これを受け、新たな枠組み「USMCA」が2020年に発効されましたが、現場で変化はほぼなかったそうです。 ヘルナンデス社長が重要視するのが、大統領の任期です。憲法で大統領の任期は2期8年までのため、返り咲きのトランプ氏の新政権は最長で4年。この間を耐え抜くため、リスク分散を狙い、食品産業などの顧客開拓も進めています。 「どんな政策でも、企業は事業を続けなければいけない」(ヘルナンデス社長) 足元ではトランプ政権の誕生に向けてどう準備すればいいのでしょうか? 「関税がかかってきた時に、コストを自社内で吸収できるか。ほかのところに転嫁できるか。生産地、調達先を移管することでリスクを回避することができるのか。選択肢をいろいろ持てるようにシミュレーションをしておくのが一番いい」(「JETORO」調査部の伊藤実佐子北米課長)