<私の恩人>川平慈英、盟友・今井雅之さんへの誓い
そこから会うたびに、どんどん痩せていきました。亡くなった朝も会いに行きましたけど、変な表現になりますけど、すごく痩せた雅之に似た物体が横たわっているというか、何とも言えない感覚でした。認めたくないのか、大きすぎるショックを頭が回避しようとしているのか…。 今、雅之に対してできること。これは、役者として力強く表現することだと思います。茶化さず、いじらず、丁寧に。雅之が嫉妬するような演技をしていくことだと思います。大きな主演映画するとかいうことではなく、一つ一つの場面、お芝居を生き生きと、キラキラとやっていく。それだろうなと。 今回の映画を撮影していた時も、実はポケットに雅之の写真を入れてたんです。待ち時間の時なんかに、写真に向かって「おい、雅之、見たか!今の芝居。どうだ、おい!」とウエットな感じではなく、ポップな感じで雅之と話してました。雅之も「湿っぽくならず、自分が残した役をエンジョイしてくれ!」と言ってるだろうなと。僕が逆の立場になっても、絶対にそう思いますから。 もう一回、雅之と会えたら…、芝居がしたいですね。シリアスなものでも、コメディーでも、何でもいいです。どちらかが倒れるくらい激しい芝居のバトルをやりたいですね。魂を口から振り絞るような芝居を…。そして、確実なのは、その後の打ち上げは、さらに壮絶になる!!これはね、間違いないです(笑)。 ■川平慈英(かびら・じえい) 1962年9月23日生まれ。沖縄県那覇市出身。兄はタレント、DJのジョン・カビラ。玉川学園高等部時代、読売サッカークラブのユースチームに在籍。高校卒業後、米テキサス州立大学にサッカー留学した後、帰国して上智大学に入学。大学在学中にミュージカル俳優として活動を始める。また、サッカーキャスターとして、テレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。大腸がんで亡くなった盟友・今井雅之さんが原作、脚本、主演を務めた舞台を映画化した「手をつないでかえろうよ~シャングリラの向こうで~」に主演。同作は今井さんの命日、5月28日から公開されている。 ■中西正男(なかにし・まさお) 1974年大阪府枚方市生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当記者として、演芸、宝塚歌劇団などを取材。2012年に退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属。現在、関西の人気番組「おはよう朝日です」などに出演中。