【闘病】発覚のきっかけは歩行時の動悸と息切れ 「慢性血栓塞栓性肺高血圧症」とは
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)という難病があります。エコノミークラス症候群と似ているそうで、闘病者も一度はそう診断されたといいます。ほかにも本態性血小板血症も判明し、現在も治療中という宍戸さんに、これまでの闘病経験について話を聞きました。 【イラスト解説】「エコノミークラス症候群(肺塞栓症)」の症状・原因・発症しやすい人の特徴 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年5月取材。
動悸と息切れで動けない
編集部: 病気に気づいた体調の変化は何でしたか? 宍戸さん: 2013年ごろ、歩行時に動悸と息切れを自覚しました。自宅でも階段の上りがきつくなったり、歩くことが出来なくなったりすることがあったので、近くの病院Aの循環器内科を受診しました。 編集部: 受診した病院ではどのような検査を行い、結果はどうでしたか? 宍戸さん: 採血と造影CTを撮ることになりました。その結果「肺の血管に血栓が詰まっているから、酸素をうまく取り込めなくて、息切れを起こしている」のだと。 そのときは、エコノミークラス症候群と診断されました。ワーファリンとフロセミドという薬の服用で治療開始しましたが、息切れなどの症状は改善しませんでした。 編集部: その後、どういう経過をたどって病気が確定したのですか? 宍戸さん: 最初の医師の対応・診療姿勢に疑問を持ったため、別の病院Bも受診しました。そこでの心エコー検査などで慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)と診断されました。 特定疾患に認定されるまでワーファリンとフロセミドでの治療を続け、その後はアデムパス服用と在宅酸素療法を開始することになりました。 編集部: 宍戸さんには、もう1つご病気があると聞きましたが。 宍戸さん: はい。2015年春、普段から通院していた精神科の病院で採血をした際に「血小板の数値が100万/μlを超えている」と連絡があり、病院B(CTEPHの診断を受けた病院と同じ)の血液外来を受診しました。 すぐに骨髄穿刺をして、その結果、難病である本態性血小板血症が判明しました。 編集部: 病気が判明した時、どのような心境でしたか? 宍戸さん: エコノミークラス症候群と言われた時よりもCTEPHと判った時の方がショックでした。真っ先にスマホで病気のことを調べ、CTEPHを含む肺高血圧症の5年生存率が4割程度という文言を見て、毎晩泣いて過ごしましたね。 編集部: CTEPHの治療はどのようなものでしたか? 宍戸さん: 2018年に、某大学病院で肺シンチグラフィ検査を行い、その結果、同年に3回の入院で計7回の肺動脈バルーン形成術を受けました。 その後は病院B(CTEPHの診断を受けた)でアデムパス、フロセミド、エリキュース投薬で様子を見ながら、前述の某大学病院で2019年に2回、2020年に2回、肺動脈バルーン形成術を受けました。 編集部: 治療中や薬の副作用についても教えてください。 宍戸さん: まだ肺圧が高かった最初の頃の肺動脈バルーン形成術では、酷い喀血を起こして中断することも度々でした。 また、エリキュースとバイアスピリンの影響で歯磨きの度に歯ぐきから出血していました。突発的に大量の鼻血が出ました。あと、アデムパスの副作用の頭痛が辛かったです。 編集部: 入院中はどのような気持ちでしたか? 宍戸さん: 本を読んだり、スクラッチアートに没頭したり、手紙を書いたり、割とリラックスしていました。行動範囲が病棟内と制限されていたので、欲しいものがある時は車椅子で助手さんにコンビニまで連れて行ってもらっていました。 編集部: 病気の情報収集はされましたか? 宍戸さん: スマホで片っ端から主にCTEPHの方のネット検索をかけました。そこで手術を受けた大学病院の肺動脈バルーン形成術治療のことを知りました。また、Instagramで同じCTEPHの人を集めて、グループラインを作り、そこで情報交換もしました。