『光る君へ』藤原実資(ロバート秋山)のシーンに高い注目度 第43話画面注視データを分析
藤原道長と藤原実資の口論に最注目
テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、10日に放送されたNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合 毎週日曜20:00~ほか)の第43話「輝きののちに」の視聴者分析をまとめた。 【写真】娘をあやす大納言・藤原実資(ロバート秋山)
■「左大臣殿の思う政とは、なんでありますか?」 最も注目されたのは20時22分で、注目度77.1%。左大臣・藤原道長(柄本佑)と大納言・藤原実資(ロバート・秋山竜次)が口論を繰り広げるシーンだ。 道長が政務を執っていると大きな足音が聞こえてきた。足音の主は実資である。実資は険しい顔つきで道長の正面に立つと、横にいた文官を鋭い目つきで見やった。席を外せということらしい。文官が一礼していそいそと部屋を去ると、実資は道長と2人きりとなったことを確認し切り出した。「帝にご譲位をせまっておられるそうですな」実資らしい単刀直入な物言いだ。「ああ、そうだ。目も耳も病んでおられる帝が、まともな政をおなしになれるとは思えぬ。ご譲位あそばすのが、帝としての正しき道と考える」道長はこともなげにあっさりと認める。「その考えも、よく分かります。されど、帝のお心は譲位に向かってはおられませぬ。責めたて申し上げたれば、帝のお心も、お体も弱ってしまわれるでありましょう。弱らせることが、正しきやり方とは思えませぬ。このまま左大臣殿が己を通せば、皆の心は離れます」実資は道長の考えに一定の理解を示しつつもその強硬なやり方を否定した。 「ふっ。離れるとは思わぬ。私は間違ってはおらぬゆえ」道長の言葉からは確固たる意志と余裕が感じられた。「幼い東宮を即位させ、政を思うがままになされようとしておることは、誰の目にもあきらか」「左大臣になってかれこれ20年、想いのままの政などしたことはない。したくともできぬ。全くできぬ」さらに詰め寄る実資に道長は感情を高ぶらせ、書状を机に叩きつける。「左大臣殿の思う政とは、なんでありますか? 思うがままの政とは?」実資の問いかけに道長は「民が幸せに暮らせる世を作ることだ」と、答えた。「民の幸せとは?」実資の追及に道長は言葉を詰まらせる。「そもそも、左大臣殿に民の顔なぞ、見えておられるのか? 幸せなどという、曖昧なものを追い求めることが我々の仕事ではございませぬ。朝廷の仕事は、何か起きた時まっとうな判断ができるように構えておくことでございます」実に実務に携わる者らしい現実的な考え方である。「志を持つことで、私は私を支えてきたのだ」「志を追いかける者が、力を持つと志そのものが変わっていく。それが、世の習いにございます」「ん? おい、意味が分からぬ」理想と現実を戦わせたところで、決して交わることはない。道長から急に気が抜けた。 「帝のご譲位、今少し、お待ちくださいませ」実資も不毛な議論に気づいたようだ。早急に話を切り上げると一礼してその場を去った。