『光る君へ』藤原実資(ロバート秋山)のシーンに高い注目度 第43話画面注視データを分析
源倫子、積年の思いをカミングアウト
3番目に注目されたシーンは20時27分で、注目度75.3%。源倫子(黒木華)が積年の思いをカミングアウトするシーンだ。 「私は、殿に愛されてはいない…私ではない、明子さまでもない、殿が心から愛でておられる女が、どこぞにいるのだと疑って苦しいこともありましたけれど、今はそのようなことは、どうでもいいと思っております」倫子は道長と2人きりになると、ゆっくりと話し始めた。 倫子と道長は、ここ土御門殿ではつい先ほど、嫡男・藤原頼通(渡邊圭祐)と、その妻・隆姫女王(田中日奈子)や子などについて一悶着があった。隆姫女王に子ができぬことが原因である。隆姫女王はそのことを気に病んでおり、夫の頼通はそんな妻を思いやって子をなすために妾(めかけ)をおくことを拒否しているのだ。まだ若い息子夫婦にとっては、左大臣家の重みよりも、お互いに対する愛情を優先してしまうことは仕方のないことである。現に道長本人も、若かりし頃は家を第一とする父・藤原兼家(段田安則)にことあるごとに反発していた。倫子は妻を一途に愛する頼通に、女の幸せは夫からの愛を得ることがすべてではないと説得をしたが、頼通はさらに態度を硬くしてしまった。 「彰子が皇子を生み、その子が東宮となり、帝になるやもしれぬのでございますよ。私の悩みなど、吹き飛ぶくらいのことを殿がしてくださった。何もかも、殿のおかげでございます」かつては倫子も、夫からの寵愛を何よりも求めていた。しかしそれを得られずとも、今の自分は他の誰よりも幸せである自信があった。「そうか…」妻から愛されていないとはっきりと言われた道長は、気まずそうにつぶやいて倫子を見た。「私とて、いろいろ考えておりますのよ」「うん」道長は発するべき言葉が見つからないようである。「ですから、たまには私の方もご覧くださいませ。ふふふふふ…」そわそわしている道長を横目に、倫子は心底楽しそうに笑い声を上げた。 ■倫子の恐ろしい笑い声に視聴者震撼 ここは、倫子の恐ろしい笑い声に震撼した視聴者が画面を注視してしまったと考えられる。 かつて倫子は道長の姉・藤原詮子(吉田羊)の40歳を祝う「四十の賀」で道長のもう1人の妻・源明子(瀧内公美)と激しく火花を散らした。また、敦成親王の「五十日の儀」が開かれた際に、まひろの詠んだ歌に道長がすかさず返歌をした時はショックを受け、部屋から退出した。しかし時が経ち、長女・彰子が東宮・敦成親王を生み、皇太后として国母と呼ばれるほどの栄達を果たしたことで、その胸中には変化が起きていた。 道長からの寵愛よりも得がたいものを得た倫子の突然の爆弾投下に、SNSでは「倫子さまの高笑いがこわい…」「背筋が凍った」「名探偵倫子さまさすがです。笑顔が逆に恐怖を増幅させます」「倫子さまはぜんぶお見通し。タジタジの道長がおかしい」「『全部知っていますから』ということを、最上級に品のある言葉に置き換えてお伝えあそばした倫子さま、かっこいい!」と、大いに盛り上がった。 道長の記した『御堂関白記』には頻繁に倫子の名前が出てくることから、仕事や政治の良きパートナーであり、夫婦仲は非常に良好だったようだが、まさに倫子は当時の妻の鑑のような存在だ。 また、倫子は敦成親王が誕生した際に、従一位に叙任されている。当初、一条天皇(塩野瑛久)は道長を従一位に叙任しようとしたようだが、道長が辞退したため倫子が叙任された。無官のまま従一位になった女性は倫子が初のケースだ。そこから約10年の間、位階においては倫子は道長を上回っていた。倫子は道長が「心から愛でておられる女」がまひろだとすでに目星をつけているのだろうか。そのことを考えると恐ろしくて夜も眠れない…。