邦人人質事件への日本政府の対応をどう見るか? 黒木英充、高橋和夫、萱野稔人らが議論(5)
安倍総理の中東訪問の評価
萱野:なるほど。今、大きくうなずいてますが、鈴木さんも同じようなお考えですか。 鈴木:そうですね。日本は中東に対して結構いいことやってるわけですけども、経済援助1つにしてもそうなんですけども、やっぱりアピール不足ですよね。 萱野:アピール不足。 鈴木:ええ。もっと日本はこんなにいいことしてますよと、こんなに非常に平和的ですよということをもっとアピールしていいかと思いますね。アラブ諸国の人たち、まだあまりよくその辺は理解してないと。情報がやっぱり足りないと思いますね、日本に対して。で、こういうネットとかの時代ですから、今回の人質事件なんかを通して、日本はアメリカとかヨーロッパの人たちと同じ路線の外交政策を歩んでる国だっていうふうに誤解されてしまうかもしれないですよね。今回の人質事件を通して。日本人は人質に取っていいんだっていうふうにああいう映像を見て思う人だって出てくると思うんですよね。そこをやっぱり打ち消さないといけないと。これからやはり日本政府はもっと日本は平和的に中東と関わってきたし、これからもそうですよというのをもっとアピールするべきだと思いますね。 萱野:なるほど。 黒木:一言だけいいですか。 萱野:はい。 黒木:要するにイスラエルのネタニヤフ首相と並んで安倍首相が言いましたよね。要するに。 萱野:イスラム国対策の。 黒木:ええ。要するにあとはイスラエルと一緒になってテロとの戦いに取り組むっていう言い方をしたわけですね。このインパクトは人質とはそこでは関係ないっていう話がありますけれども、要するにイスラム国はそのことを何も問題にしてないから、それは問題なかったんだという言い方がありますけども、私はそれは違うと思うんですね。あるいはイスラム国だけでなくて広くアラブの人たち、あるいはイスラムの人たちにとって、日本はやっぱりそうだったのかっていうイメージをあれは与えるものでしたよね。だから。 萱野:なるほど。イスラエル首相とテロとの戦い、イスラエルの国境がここに見えてるっていう……。 黒木:そうなんです。で、イスラエルは要するにパレスチナ人をテロリストだっていう形で、今までカザであれだけのことをしてきたわけですよ。それと一緒になるっていうふうに宣言しちゃったわけですからね。これはやはり長期的に大きな問題になると思います。