米国撃破の森保Jはなぜ「鎌田大地のチーム」に変貌を遂げたのか
昨年とは対照的に、この夏は去就にも悩まされなかった。フランクフルトが最高峰の戦いとなるUEFAチャンピオンズリーグに出場できる状況が鎌田の目を輝かせ、開幕が11月に迫るカタールワールドカップへは逆に自然体を貫かせた。 代表復帰を果たした6月シリーズで、鎌田はこんな言葉を残していた。 「ぶっちゃけ、フランクフルト以上のチームを探すのが難しい。(ワールドカップの)代表に選ばれてもおかしくないチームでプレーしていると思っているし、選ばれなければ別に僕がどうこうできる問題でもない。なので、本当にチームだけにフォーカスしている」 攻撃面でのトップフォームを取り戻し、かつ守備力とタフネスさを融合させた鎌田は、森保監督が描くワールドカップ構想にもぴったりマッチした。 相手へプレッシャーをかける位置がどうしても低くなる4-3-3から4-2-3-1への回帰。相手ボール時には1トップの選手と並ぶ形でプレスをかける役目を託されるトップ下は、カタール用システムのキーマンであり、現状を比較すれば新天地モナコで苦戦を強いられている南野よりも鎌田が文句なしのファーストチョイスとなる。 森保ジャパンに還元したのは、昨シーズンに磨いた守備面だけではない。先制ゴールの他にも3度の決定機に顔を出し、久保や伊東、1トップの前田大然(24、セルティック)やダブルボランチの遠藤、守田とも息の合ったコンビネーションを見せた。 同じデュッセルドルフ・アレーナにエクアドル代表を迎える、27日の国際親善試合を終えればいよいよカタール大会に臨む代表メンバー発表を待つだけとなる。 それでも鎌田はサガン鳥栖時代から変わらない飄々とした口調で、それでいて貫禄すら漂わせる言葉とともにフラッシュインタビューを締めた。 「今日はチームとしてやりたいことがある程度機能して、内容とともに結果もついてきたのはよかったと思う。次もしっかりと内容と勝ちにこだわっていきたい」 A代表デビューを果たしてから約3年半。浮き沈みが激しかった森保ジャパンでの日々をワールドカップ直前に、プラス思考を介して右肩上がりに変えた鎌田の視界には、カタールの地で日本の大黒柱を担う自らの勇姿がはっきりと見えている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)