ドジャースはやっぱり強かった…2024年レギュラーシーズンの総括、WSへ向けた想いとは【コラム】
“野戦病院化”を乗り越えて…
前述の通り、オフに大補強を敢行したドジャースだが、ふたを開けてみればロバーツ-フリードマン政権では2018年以来6年ぶりの100勝未達成となってしまった(2020年は116勝換算)。その大きな要因は投手陣に相次いだ故障離脱だろう。 今季の投手陣が生み出したfWARは13.9でメジャー16位と野手陣のfWAR32.1メジャー3位と大きく離されている。ドジャースが誇る圧倒的なファームシステムと選手改造能力をフル稼働させてどうにかシーズンを乗り切ることができたが、結果的に40人のピッチャーが使われることなった。 オフシーズンの補強戦略を見ても、多少の故障離脱はリスクとして取っている側面があった。ガラスのエースと呼ばれるグラスノーを獲得し契約延長したことからも見て取れる。 一方でTJ手術から復帰するウォーカー・ビューラー、屈腱筋手術から復帰予定のダスティン・メイ、肩の手術を受けたクレイトン・カーショーとエース級が続々と戻ってくること、加えて昨季デビューを果たしたボビー・ミラー、ギャビン・ストーン、エメット・シーアン、カイル・ハートの更なる飛躍も期待され、故障と復帰/躍進をバランスすればプラスに傾くはずであった。 ところが5月にシーアン、6月にはハートが、さらに8月には今季デビューしたばかりのリバー・ライアンがTJ手術となり、今季絶望。さらにはメイがリハビリ期間中に食事をしていると食道を損傷し今季絶望ともはや呪いを疑うレベルのことも起きた。 しまいにはローテーションをある程度回していたグラスノー、カーショーが故障、9月には先発ローテ皆勤賞のストーンが肩の炎症で離脱してしまった。過去3年間NPBで150イニング以上を投げていた山本由伸でさえ3か月ほど離脱した。 ドジャースのフロントオフィスは、オフシーズンに組織全体で投手育成とプロトコルに関する検証を行うとしている。米メディア『The Athletic』のKen Rosenthal氏は、2023年に最も球速の速いチームはドジャース傘下のダブルAチームだったことを指摘した上で、球速偏重が原因の一つではないかと指摘している。 カブス放送局のアナリスト Lance Brozdowski氏はマイナーリーグ全体のデータを検証し、ドジャース組織全体の平均球速は94.0マイルでトップだったとしている。これは2位を0.7マイル離す数値である。 念願のプレーオフでの勝利なるか この原稿を書いている9月末でドジャースは地区優勝・メジャー最高勝率を決め、MLB全体での第1シードとして来るNLDSへ準備を進めている。過去2年は打線の沈黙や先発の頭数不足などからファンを失望させる結果になっている。 WCS中の5日間の休養日が原因になっているとも指摘され、昨季からドジャースは組織内のマイナーリーガーなどを集めた紅白戦を行い、特にルーティーンが重要とされる野手陣のコンディション維持に努めた。 2020年にワールドシリーズ優勝を果たしたとは言え、Covid-19による短縮シーズンだったこともあり”Mickey Mouse Ring” (= 正当性がない)と揶揄されることも多い。 またこの時はロサンゼルス市内での優勝パレードも行えていない。1988年以来36年ぶりのフルスペックでのワールドシリーズ優勝に向けてドジャースの躍進を期待する。
ベースボールチャンネル編集部