イモトアヤコ“10年前の後悔”……「まず知ることがすごく大事」こどもたちとつくりたいミライ
■10年前の少女との会話……“後悔”そして“知る大切さ”
――イモトさんは100か国以上、いろんな世界をみてこられました。一方で、こどもたちはこれから世界を広げていこうという段階だと思います。中には1つの世界で悩んでいたり、学校に行きたいけどいけないという子もいたりします。こどもたちに向けて、イモトさんがエールを送るとしたら、どんなお話を届けたいですか? 難しいですね。一回すごく後悔したことがあって、東南アジアのある国に行った時に水上で生活している方々を取材したんです。なかなか日本では見ないから、「水上生活ってどんなものなのだろう」っていう本当に表面上のことで行ってしまって。 トイレはこういう風にしてます、食事はこういう風にしてます、みたいに、一つのご家族を取材させてもらったんです。そこに中学生くらいの女の子がいて、水上生活で楽しいことってないんですか?っていう質問を、私はなんの気持ちも考えず、さらっとその子に質問したんです。 そうしたらその子が真顔で「楽しいことなんて1つもないです」って。「ここの人たちは、土地がなくて仕方なくここに住んでいて、自分には戸籍もないですし、学校にも行くことができないんです」って。私の勉強不足で、そういうことを全く知らずに質問を投げかけちゃって。その時は衝撃的で、自分の無知にも腹が立った。自分ではどうしようもない環境に置かれているこどもたちがいろんなところにいて、学校にも行きたくてもいけない、その選択肢すらないっていうこどもたちが本当にたくさんいて。 だから今でもその子の言葉をすごく思い出して、どうしたらいいんだろう、じゃあ私がその子のことを支援したところで解決する問題でもないし、どうしたらいいんだろうってずっと思っていますね。あの子がどうしたら素直に「今こういうことが楽しいです」って言えるようになるのか、10年くらい前の話なんですけど、ずっと引っかかっているんですよ。 だからエールって、なんて言っていいのか、あの女の子に向かってなんて言えばいいんだろうって思っちゃうと、ごめんなさい。簡単に答えられなくて。 ――いえ、でも本当にそうですね。 自分の力でどうしようもない環境に置かれている子たちがいるんだって。私はそれで知ったし、だから「知る」ってことが大事だなって思っていて。だからこどもウイークっていう機会で、こういう子がいるんだよって、まず知るっていうことはすごく大事だなって思います。