「豆乳より、牛乳」「卵はたくさん食べても問題ない」栄養は食品から摂るべき理由【柴田博×和田秀樹⑥】
健康に長生きするには「コレステロールは下げる」のが常識。でも実はこれ、間違いなのです。実証研究に基づく対談は“目から鱗”の連続。日本人の生活を根本から変えてしまうかも。『80歳の壁』著者・和田秀樹が“長生きの真意”に迫る連載。今回の対談者は医学博士・柴田博氏。最終回。
いろいろな種類を食べるのが大事!
和田 柴田先生はやはりお肉もたくさん召し上がりますか? 柴田 もちろんです。自分が言った通りにしかやらない。参考までに、総合的な栄養を摂取するために僕が実践している、1日の食の目安を書きますね。 ー【動物性食品】①卵1個 ②牛乳200ml ③魚介類60~100g ④肉類60~100g ー【植物性食品】①豆腐1/3丁(相当する大豆製品でも可) ②野菜350g ③キノコ類15~20g ④海藻10~20g 和田 やはり、いろいろな種類を食べるのが大事ですね。 柴田 僕らは“食の多様性”を推し進めてきましたからね。 和田 栄養は食品から摂る。 柴田 例えば「豆乳か牛乳か」という質問もされるけど、牛乳じゃないとまずいです。豆乳もいいけど、それは豆腐や納豆を食べたらいい。牛乳の脂肪分や他の成分は、豆乳ではカバーできないんです。 和田 卵もコレステロールが高いからダメだと、控えている人が多いです。 柴田 卵はね、いくら摂っても血中のコレステロールは上がらないことがわかってるんですよ。2個半とか3個ぐらい、あるいはそれ以上食べても、血中コレステロールは一定のところでコントロールされますから。動脈硬化学会も、ついにそれを言うようになりました。安くて良質なタンパク質なのだから、どんどん食べればいいんですよ。
栄養学にもっと光を
和田 長野県が平均寿命を延ばしたのは、地域医療をうまくやったからですよね。 柴田 佐久病院の若月先生が中心となって地域活動を徹底的にやったんです。学生の教育もやって。 和田 だけど自分が偉いと思ってる人たちは、学ぼうとしません。柴田先生がやった実態調査なんて無視して、動物実験で論文を重ねていった人が力を持つ。そういう人が日本の医学界にヘンなモデルを押し付けてると思うんですよ。僕はね。 柴田 栄養学もね、最初は徳島大学の医学部の中に創り、阪大でもやったんだけど、途中で消えちゃった。栄養学は健康との結び付きの中で深まっていくものだから、医学部の中にあるほうがいいんでしょうけどね。 和田 問題は栄養学が、本来のものではなく逆のことをやってることです。メタボ対策とか。 柴田 そうそう。僕らが闘ってる相手ね(笑)。 和田 その中心にいる先生は「メタボはダメ」と言いながら自分は痩せようとしない(笑)。本当は太っているほうがいいとわかっているのだと思います。 柴田 でしょうね。あの人は利口ですからね。