「年収103万円のパート主婦」なら定額減税2重取りが可能…天国と地獄を分ける「合計所得」とは何か
■パート・アルバイトは年収103万円以下に抑えたほうがいい 最後に、「令和5年の合計所得が48万円超」の場合を見てみましょう。図表6をご覧ください。 「令和5年の合計所得が48万円超」で、かつ「令和6年の合計所得が45万円以下」の場合、「扶養する側」は「3万円の所得税減税」のみ、パート主婦本人は「1万円の住民税減税+3万円の所得税減税」で4万円、あわせて7万円を受け取ることになります。 同様に、「令和5年の合計所得が48万円超」で、かつ「令和6年の合計所得が45万円~48万円」の場合も、7万円を受け取れる見込みです。 ただ、「令和5年の合計所得が48万円超」かつ「令和6年の合計所得が48万円超」となる場合は、「扶養する側」の定額減税はないため、4万円のみとなる見込みです。 これらを踏まえると、パート主婦の方は今年の年収を103万円以下に抑えると、定額減税を2重取りできる可能性が高いと思います。 ■「定額減税をもらえない場合」もある こう見るとパート・アルバイトの方はおいしい話ばかりのようですが、世の中うまい話ばかりではありません。 実は1つ落とし穴があります。あることをしてしまうと、定額減税が受け取れなくなってしまうのです。 図表7はパート・アルバイトの方の税金の仕組みを解説したものです。 「支払金額」とあるのは、いわゆる額面の収入のことです。 ここから「給与所得控除」が引かれますが、年収103万円の場合、給与所得控除は55万円となります。103万円から55万円を引いた48万円が「合計所得」となります。 ここから所得控除として基礎控除48万円を引くと、課税所得は0円。所得税も住民税も0円です。 要するに税金が0円だから、年収103万円以下の人は扶養に入れていい、ということなのです。
■「課税される人」は「2重取り不可能」 ですが、年収104万円になると事情が変わります。図表8をご覧ください。 支払金額(額面の収入)は年収104万円。給与所得控除55万円を引くと、合計所得は49万円になります。 ここから基礎控除48万円を引くと、課税所得は1万円。 そのため、所得税500円、住民税8500円と、計9000円の税金が発生してしまいます。課税対象となるから、扶養の対象外なので、扶養する側は減税されません。つまり2重取りはできなくなります。 パート主婦本人の定額減税4万円は受け取れます。計9000円分が減税され、引ききれなかった31000円については、1万円単位で切り上げて、4万円の調整給付金が支給されることになります。 ■「ふるさと納税」「iDeCo」のせいで減税されないケースも… 問題はここからです。 基礎控除のほかに、医療費控除やiDeCo、ふるさと納税などの寄附金控除がある場合、合計所得から控除される金額が増え、課税所得が減ります。 年収104万円の場合、合計所得が49万円あるので、扶養の対象外となります。 その時、基礎控除以外の控除が+7万円ある場合、図表9のように、所得控除が55万円(基礎控除48万円+その他控除7万円)となり、課税所得が0円になります。 課税所得が0円なので、所得税は0円です。ただ住民税については「均等割」があるので、5000円の税金が発生してしまいます。 記事の冒頭で書いたことを思い出してください。「住民税が均等割のみ」の場合は、「定額減税の対象外」です。扶養も認められないため、「扶養する側」への減税もありません。 つまりこの場合「4万円の定額減税」は受け取れないということです。