「年収103万円のパート主婦」なら定額減税2重取りが可能…天国と地獄を分ける「合計所得」とは何か
■「合法的な2重取り」の仕組み 一方、例にあげた「年収103万円のパート主婦」の場合、主婦本人にも収入があるため、夫とは別に納税が必要になります。 地域によって異なりますが、都市部では、年収100万円を超えた部分には所得税はかかりませんが、住民税がかかってきます。 「年収103万円のパート主婦」の場合、住民税は7500円ほど発生します。 なので、パート主婦本人は、6月の給与で7500円減税されることになります。 ただ定額減税は1人4万円なので引ききれません。なので、残り3万2500円は調整給付金として受け取ることになります。 調整給付金は端数を1万円単位で切り上げて支給されるため、調整給付金は4万円支給されるはずです。 結果、このパート主婦は計8万7500円の定額減税(調整給付金含む)を受けられるのです。夫婦であわせて12万7500円も減税されることになります。 ■「年収100万円以下」ならおおむね「扶養する側」が減税される ただ「2重取り」にはいくつか条件があります。図表3はその条件を整理したものです。 年収から「給与所得控除」を引いた額を「合計所得」と言います。 この合計所得が「45万円以下(年間所得が100万円以下)」の場合は、「扶養主」だけ定額減税されるため、2重取りはできません。 この「45万円」という基準は都市部の話であり、地方だともう少し低い水準の場合があります。 パート・アルバイトの場合、「年収100万円以下なら、おおむね扶養する側の定額減税になる」と覚えていただければいいかと思います。
■所得税と住民税の「ズレ」で2重取りが可能に 一方、合計所得が「45万円~48万円(年収100万円~103万円)」の場合、扶養する側に「4万円の定額減税」、「扶養される側(パート主婦側)」にも「4万円の定額減税」と、「2重取り」で計8万円受け取れます。 おそらく定額減税は引ききれないため、調整給付金を受け取ることになるでしょう。 なぜ「2重取り」が発生するのかというと、「合計所得が48万円以下なら、扶養する側から定額減税」というルールがある一方、「合計所得が45万円超なら住民税の対象になる(定額減税が発生する)」というルールもあるからです。 所得税と住民税で税法がずれているため、こういう現象が起きてしまうのです。 ■「令和5年と令和6年の合計所得」も関係 実際にはもっと複雑な条件もからんできます。 「令和5年(2023年)の合計所得」と「令和6年(2024年)の合計所得」によっても2重取りできるかどうかが変わります。 図表4をご覧ください。 「令和5年の合計所得が45万円以下」で、かつ、「令和6年の合計所得も45万円以下」の場合は、扶養する側だけが定額減税されます。 「令和5年の合計所得が45万円以下」で、かつ、「令和6年の合計所得は45万円~48万円」の場合も、扶養する側だけが定額減税されます。 ただ、「令和5年の合計所得が45万円以下」で、「令和6年の合計所得が48万円超」に該当する場合は、「扶養する側」は「1万円の住民税減税」、パート主婦本人は「1万円の住民税減税+3万円の所得税減税」計5万円を受け取れます。部分的な「2重取り」となります。 ■パート・アルバイトは合計所得を48万円以下に調整したほうがお得 さらに図表5を見てください。これは「令和5年の合計所得が45万円~48万円」の場合を整理したものです。 「令和5年の合計所得が45万円~48万円」で、かつ「令和6年の合計所得が45万円以下」の場合、2重取りできて8万円を受け取れます。 「令和5年の合計所得が45万円~48万円」で、かつ「令和6年の合計所得が45万円~48万円」の場合も、同じく2重取りが可能で8万円を受け取れます。 「令和5年の合計所得が45万円~48万円」で、かつ「令和6年の合計所得が48万円超」の場合は、「扶養する側」は「1万円の住民税減税」、パート主婦本人は「1万円の住民税減税+3万円の所得税減税」と、部分的に2重取り、計5万円を受け取ることになります。 つまり、定額減税の2重取りで8万円を手に入れるためには、パート主婦の方は今年の収入を「合計所得48万円以下」になるように調整したほうがいいでしょう。