「知らない」「何もできない」認知度わずか29%『南海トラフ地震臨時情報』発表されたら...どうする?適切行動はそれぞれ違う さらに「臨時情報が出るまで南海トラフ地震は起きない...は誤解」
「臨時情報が出るまで南海トラフ地震は起きない…は誤解」
南海トラフ地震に関する評価検討会の会長を務める東京大学の平田直名誉教授は、認知度だけでなく正しく理解もされていないと指摘する。 (東京大学 平田直名誉教授)「臨時情報が出るまでは南海トラフ巨大地震は起きないんじゃないか、という期待を込めているかもしれませんが、それは誤解です。現在の地震学の実力では、地震が起きる前にいつ地震が起きるかを予測することはできません」 実は、臨時情報が発表されたとしても、巨大地震が発生する確率はそう高くはない。過去の巨大地震の事例からすると、1週間以内に発生する頻度は、『巨大地震注意』で数百回に1回、『巨大地震警戒』でも十数回に1回とされる。では臨時情報は何のためにあるのか? (東京大学 平田直名誉教授)「災害弱者と言われるような、典型的には高齢の方や要支援者、走って逃げることができないような方が、事前に少しでも安全なところに避難するためです。10回に1回の発生頻度でも、ただちに逃げておかないと命が失われるので、この情報は意味がある」
臨時情報が発表されたときは“デマ拡散”おそれも
一方で臨時情報が発表された時に懸念されることがある。社会心理学の研究者が明かした危険性とは。 (東京大学大学院情報学環 関谷直也教授)「臨時情報が出続けている限りは、いろいろな混乱・誤情報・流言は発生するものだと思っておいた方がいいのではないかなと思います。鉄道などが止まってしまって避難ができないような状況になっているとか、スーパーで物が買われ始めて食料とか水がなくなっているとか、そういうふうな流言が広まる。そういった状況がさらに多くの人たちの不安をあおって、そういった行動に駆り立てる」 新型コロナの流行が始まったころ、「トイレットペーパーが品薄になる」というデマがSNSなどで拡散されて買い占めが起きた。 6年前の大阪府北部地震でも「断水」や「電車の脱線」などの誤った情報がインターネット上で相次いだ。臨時情報発表時もこのような情報が拡散するおそれがあるというのだ。 (東京大学大学院情報学環 関谷直也教授)「政府・気象庁・地震学者などが何か情報を隠しているのではないかといった陰謀論的な流言・誤情報も出てくるとは思います」