二刀流をスタートさせた打者・大谷翔平の評価とは?
初回、4シームの平均球速が95マイル(約153キロ)を超えるジョン・グレイと対戦すると、じっくりと球を見極め、最終的には2-2からの外角低めの4シームを見逃して三振に倒れたが、やはり、意図が透けるような打席だった。グレイもマウンドの上で感じていた。 「何か考えがあって、バットを振らなかったんだろう」 大谷自身はその打席を振り返り、「コースにきていたので、なかなか手を出しづらかった」と話したが、「やや外が広い」というデータは実感としてインプットした。 「入っているなら、入っているで、次に向けてそこに手を出していけばいい。そういう一個一個の確認が、打席ごとに大事になってくる」 限られた打席の中で、なにをすべきか、そして次にどう生かすか。1打席1打席、テーマを持ち、課題を探す。この日は無安打だったが、収穫は小さくなかったようだ。 ところで大谷と対戦したグレイと2打席目に投げたジェフ・ホフマンがこんな話をしていた。 まず、グレイ──。 「あの構えなら、内角高めが、配球の軸になる。今日は外角を攻めるというテーマがあったから投げなかったけど、シーズン中なら内角高めに投げて、どんな反応をするのか、まずは試すと思う」 大谷は、左肘を高く上げ、大きく構える。その分、内角高めは窮屈なスイングになるのでは、ということだった。 ただ、「威圧感がある」ともグレイは言う。 「俺も小さい方ではない(193センチ)。その大きさを生かすような投げ方をイメージしているが、あの身長(大谷も193センチ)で、あれだけ大きく構えられると、投手としては嫌なものだ」 続いて、ホフマン。 「初球の内角の真っすぐはストライクだと思った。大谷はプレートの近い位置に立つから、審判にはあそこがボールに見えるのかもしれない」 軸足に関してはさほど近くないが、右足のつま先は、確かにバッターボックスの白線についているようにも見える。ただ、「それよりも」とホフマンが指摘したのは、足の上げ方だった。 「前に蹴り出すような感じだ。プレートに被っているんじゃないか。こっちでは、アンソニー・リゾ(カブス)がそんな足の上げ方をするんだけど、内角低めは当たってしまうような気がする」 ビデオで確認すると、そこまで被っているわけではないが、角度によってはそう見えるのかもしれない。ホフマンは、続けた。 「内角が狭く見える」 ひとまず、この2日間に限れば、「野手・大谷」に対するキーワードは内角か。 26日(日本時間27日)の初打席では2球目を空振りしたが、コースは内角高めだった。ただその後、内角の球を見極めて、四球につなげている。一つのコースを巡っても、様々な駆け引きが透けて見える。 明日からは2日(日本時間3日)の先発に備え、投手優先の調整になる。せっかく、感覚を掴みつつある中で、実戦の打席から遠ざかる。その時間が、どこかもどかしい。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)