長野の森の中に広がる「赤いソバの花」 観光客らでにぎわう
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ヒマラヤ原産、赤い花を咲かせるソバの畑が広がる「赤そばの里」が長野県の箕輪(みのわ)町=上伊那郡=にあり、10月中旬にかけて多くの観光客やアマチュアカメラマンでにぎわっています。地元の住民が「地域の活性化策に」とソバ畑の耕作や遊歩道整備などに取り組み、関西方面などから大型バスで訪れる人も増えてきました。
白いソバとの交雑避け標高800メートル以上に畑
赤ソバは、信州大学名誉教授でソバ研究で知られた氏原暉男(うじはら・あきお)さん=2013年死去=が、健康食品、福祉・医療機器などのタカノ株式会社=長野県上伊那郡宮田(みやだ)村=と共同開発した品種で「高嶺(たかね)ルビー」と呼ばれます。 氏原さんが標高4000メートルのヒマラヤ山麓で赤く咲くソバを見つけ、ぜひ郷土の品種として育てたいと持ち帰り、企業と試行錯誤しながら高嶺ルビーを生み出しました。その後も、より色の濃い品種が登場しています。
箕輪町上古田の山間地に広がる赤ソバ畑は4.2ヘクタール。うねるように広がる赤いじゅうたんのようなソバ畑が訪れる人を魅了しています。白い花のソバとの交雑を避ける目的で標高800メートル以上の木々に囲まれた場所に隔離するように畑を設けました。森の中の赤いソバ畑は童話の世界の雰囲気も醸し出し、女性にも人気です。 畑の耕作やイベント時の駐車場管理、環境整備などは、地元住民の「古田の里 赤そばの会」(会員80人)が担当。赤そばの会の唐沢荘介さん(74)の話だと、訪れる観光客らは1日1000人から2000人ほどで、イベントで提供するそばは500~600杯ほど出ます。バスツアーも多く、県外からの観光客も目立ちます。 見どころは日の出のソバ畑。朝日が差してソバの花を照らすと一面に赤い色が広がり幻想的な光景が出現。「ソバ畑の土手にアマチュアカメラマンがずらりと並んでカメラを構えるにぎわいになる」と唐沢さん。森に咲く赤いソバの花は、さらに多くの人を引き付けそうです。 今年は天候不順や台風の影響も。「そのせいか花の色がやや薄いのが残念」と唐沢さん。「例年は覚めるような赤い色になるので、ぜひまた来てください」と話していました。 ※「赤そばの里」は、中央道伊北インターから車で10数分。
---------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説