【蛯名正義コラム】JBC2歳優駿で心を動かされた理由 騎手のスマホ問題に〝提言〟
【蛯名正義コラム】 東スポ読者の皆さま、1か月のご無沙汰でした。調教師の蛯名です。 10月の競馬界もいろいろな出来事がありましたが、大きな衝撃だったのが11日に引退が発表された藤田菜七子の件。事実関係については当事者ではないので分からない部分も多いですが、競馬の発展に大いに貢献してくれた彼女がこういう形で騎手を引退せざるを得なかったことは、同じ騎手仲間だった一人として残念に思います。 その他にも永野猛蔵、小林勝太のスマホの不適切使用も判明し両者は現在、騎乗停止中。ともにしかるべき制裁を受けて、反省する必要があると思いますが、それらがすべて済んだ後には、調整ルームにおけるスマホの運用ルールについては改めて見直す余地もあるのではと感じました。あくまで私見になりますが、スマホの持ち込み=不正行為の温床であるとは全く思わないので。もちろん外部との通信については制限が必要でしょうが、交通機関の確保やレースの研究においてはスマホがないと不便なケースも多いと思います。“今の時代”に合ったルールを検討してみてもいいのではないのでしょうか。 さて10月の蛯名正厩舎は計2勝。2、3着が多かったですし、競走除外もあったりして悔しいことも多かったですが、20日東京の未勝利戦を読売ジャイアンツ・菅野智之投手の父である隆志オーナーのカリーンで勝てたことは良かったですね。性格がすごく良くて、一生懸命に走ってくれる子。まだきゃしゃな面もありますが、これからもっと成長してくると思いますよ。今後は放牧先から年内に帰厩させて、年明けのGⅢフェアリーSや、前後の1勝クラスあたりを考えています。 あとはGⅡ富士Sで9着に敗れたレッドモンレーヴ。最後はすごい脚で伸びてきましたけど、前半に大きく離されてしまって競馬になっていない感じでしたね…。レース後も全く息が上がらずケロッとしていましたから。次走はあえて重賞ではなくリステッドのキャピタルS(23日=東京芝1600メートル)を予定。今度は馬具を工夫しますし、競馬の形をしっかりつくりたいと考えています。そのうえでどんな結果になるのか。今度こそ彼らしい走りを見せてくれたら…と思っています。 さらには先週末から今週にかけて米国でブリーダーズC、佐賀と門別でJBCが行われました。それぞれ感想を述べたらキリがないですが、心動かされるものがあったのは門別のJBC2歳優駿でホッカイドウ所属のソルジャーフィルドが1着でゴールしたシーン。地方馬が勝ったのはもちろん、同レースを1年前に制したフォーエバーヤングがその後、ケンタッキーダービーやBCクラシックでも3着したことを考えると、地方と中央、そして海外のダート競馬が、いつしかこんなにも近づいていたんだな…と、感慨深かったです。遠くない将来、蛯名正厩舎からも地方や海外で活躍する馬を送り出したいものですね。
藤井 真俊