名古屋「スズサン」、伝統工芸でハイエンド市場参入に成功、その戦略と展望をCEOが語る
行政ができることと民間ができることは異なる。井上さんは「スズサン」を大きくすることが目的ではなく、僕たちが日本の地域文化を発信できる切り口になると思ってくれて入社してくれた。
WWD:日本の産地の多くは経済的課題に直面し海外企業連携は重要である一方、寡占状態に陥るのは危険だともいえる。産地で生きる人の自律性をどのように維持することが望ましいのか?
村瀬:今までは受注する側と発注する柄の上下関係があった。大資本の企業が力を持ち、イニシアチブを取るのが通例だったが、変わりつつある。欧州は目利き集団による価値付け上手な「目の文化」、日本はモノ作りが残る「手の文化」。欧州は「手の文化」がなくなっていく中で、「手の文化」が一つの価値として認められるようになったと肌で感じる。価値の交換は上下関係ではなく対等な立場で行われつつあり、巨大資本の企業が僕らのところに来るのは彼らができないからで、そこにはリスペクトがある。こちら側もクリエイションにリスペクトを持つことが大切だ。