名古屋「スズサン」、伝統工芸でハイエンド市場参入に成功、その戦略と展望をCEOが語る
WWD:思い入れがあり狙い打ちした店は?
村瀬:ミラノのビッフィとその姉妹店バンネル。古くは「ケンゾー(KENZO)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」を発掘し、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)を学生の頃に見出した目利きの店で、セレクションも内装も素晴らしく、初めて訪れたときにその美しさに感動した。「スズサン」を取り扱って欲しいと思ったが当時はこのレベルに達していないとも思った。店の人が話しかけてくれて、「僕は日本人のデザイナーでこの素晴らしい店に出合えて嬉しい」と伝えると「あなたの製品が並ぶのを待っているわ」と答えてくれた。その3年後、ミラノの合同展示会「ホワイト(WHITE)」に出展すると小柄な女性がやってきて買い付けてくれた。店の名前を尋ねるとビッフィだった。最近ではミラノ・ファッション・ウイーク中にビッフィのウィンドーを手掛けている。今年3月、ビッフィのオーナーが有松に来てくれて、一緒にワークショップをした。ベルリンのアンドレアス(・ムルクディス)も有松にも来てくれた。
WWD:「スズサン」の取り扱い店の幅が広い。ブランドのポジショニングをどう考えているか。
村瀬:試行錯誤した結果築いたポジショニングだ。色、柄、型、サイズをカスタマイズして1点から作ることができることが強みになっている。市場を分析するためにファッションブランドやセレクトショップの傾向や価格帯から「ラグジュアリー」「プレミアム」「アッパー」「デイリー」「マス」とピラミッド型の分布図を作った。さらに僕たちがターゲットとしている「プレミアム」を、「アーバン、ダーク、マスキュリン、アヴァンギャルド」「ジョイ、コンテンポラリー、カラフル、フェミニン」「リラックス、エフォートレス、ナチュラル、クラフト」「コンサバティブ、クオリティ、ネームバリュー、タイムレス」の4つに分類するとファッションブランドとセレクトショップはいずれかにはまる。具体的なブランド名やショップ名は控えるが、ブランドの多くは、カテゴリー内にある店のみで取り扱われていることがわかった。