電子部品上場50社…通期予想は下方修正相次ぐ、背景に自動車変調
電子部品業界の上場50社の2024年4―9月期連結決算は、客先の在庫調整が進み受注が増えた結果、半数以上となる26社が営業増益を確保した。特に電子部品大手5社は京セラを除く4社が営業増益となり、5社合計の同期の営業利益は前年同期比17・9%増の4980億円となった。スマートフォンやデータセンター(DC)需要が業績をけん引した。一方、電気自動車(EV)を含む自動車市場の変調などを見据え、通期予想の下方修正も相次いだ。 【一覧表】電子部品50社の決算詳細 電子部品大手5社は、例年同様に北米向けスマホの需要を獲得したほか、DC向け部品が好調に推移し業績を押し上げた。為替の円安も下支えした。他方、5社のうち通期予想の営業利益を上方修正したのはTDKのみにとどまった。ニデックと村田製作所、ミネベアミツミは据え置き、京セラは下方修正した。 上期で営業増益だったにもかかわらず、通期予想の据え置きや下方修正を行った背景には、自動車市場の変調がある。京セラは欧州での車載向け需要の低迷を一因に挙げる。また村田製作所はEV市場の成長率が想定に比べて緩やかになっているとの見方を示す。 大手以外の電子部品各社も自動車の販売状況に影響を受ける。日系自動車メーカーによる生産計画台数の見直しを考慮し、通期予想の営業利益を下方修正した企業も顕在化している。 一方、人工知能(AI)サーバーに使う電子部品への需要は、下期(24年10月―25年3月)に盛り上がりを見せそうだ。AIサーバーに搭載する電子部品は積層セラミックコンデンサー(MLCC)やアルミ電解コンデンサー、水晶デバイスなど多数ある。AI需要を取り込めるか否かが、各社の業績を左右するカギになる。