姉妹制覇を狙うキタノクニカラ

［ＧⅢ新潟２歳ステークス＝２０２４年８月２５日（日曜）２歳、新潟競馬場・芝外１６００メートル］ 　今週の新潟メインはＧⅢ新潟２歳Ｓ（２５日＝芝外１６００メートル）。昨年の勝ち馬アスコリピチェーノが続く阪神ＪＦも優勝したように、日本一長い直線を有するマイル戦は、暮れのＧⅠやクラシック戦線につながる立ち位置にある。おそらく福島芝１２００メートルで勝ち上がったキタノクニカラは人気の盲点となるだろう。だが、しかし…。キタウイングに続く姉妹制覇の可能性は十分あると、ここに宣言したい。 　番組数やバリエーションが限られる新馬戦は、ジョッキー確保などの問題もあり、必ずしもベストの条件でのデビューとならないケースもある。 　福島芝６ハロンでデビューしたキタノクニカラも戦前から「１２００メートルの馬ではない」（小島調教師）と公言していたように、適性ど真ん中の初陣ではなかった。実際、陣営からは「ここを使って次の新潟の１４００か１６００かなあ」という声も。あくまで“次”以降を見据えた一戦とも思えたが…。結果は中団からの鮮やかな差し切りＶ。勝ち時計（１分１０秒５）、着差（クビ）は地味だったが、それが適性外での勝利だったとなれば話は別だ。 　何といっても一昨年の新潟２歳Ｓ覇者キタウイングの全妹という血統背景は魅力だ。「似ていますね。ストライドがきれい。もう少しサイズが大きくなってほしいというところはあるけど、走りがきれいなところはお姉ちゃんと似ています」と話すのはキタウイングの手綱も取っていた杉原。２年前に制した姉に姿をダブらせており、同じ舞台に駒を進めた妹にも期待を込める。 「もう少し距離が欲しいという中で勝ち切ったのは大きいですね。１回使って新潟の千六を使いたいと思っていたくらいだし、舞台は合いそうです。この相手にどれだけやれるかはやってみないと分からないけど、ここでも期待はしているし、力を出してくれればやれると思っています」 　姿を重ねているのは杉原だけではない。小島厩舎の鈴木助手も「キャンターの弾むようなところは（姉と）似ていますね」と話す。加えて「牝馬らしいきつさはあるけど、競馬にいけば上手に走れる。とにかくコントロール性の良さは長所ですね」という競馬センスは、上手に立ち回った先行馬が穴をあけることも多いこのレースで大きな武器となるはずだ。 　実は、芝６ハロンの新馬を勝ち上がった直後の新潟２歳Ｓ制覇は外回り１６００メートルになった２００２年以降一度もないのだが…そもそもキタウイングが連闘で勝利という超レアケースだった。この血統に常識は通用しない。