好き嫌いをする子ども…ついつい言いたくなるけど「グッと我慢」なNGセリフとは?
子どもの心身を整えるには、睡眠や食事など「毎日の生活」がとても大事。子どもの寝る時間から朝食の摂らせ方、好き嫌いの指導法まで、自ら実践した子育て法に基づき、脳科学の研究者である著者が子どものポテンシャルを最大限に引き出す教育法を伝授する。本稿は、成田奈緒子『子どもの隠れた力を引き出す 最高の受験戦略 中学受験から医学部まで突破した科学的な脳育法』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● ノンレム睡眠とレム睡眠を 繰り返すことが大切 睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。通常、眠ってから30分ほどでノンレム睡眠が訪れます。ノンレム睡眠は非常に深いレベルの眠りで、蓄積した疲労を解消し、体をリセットしているような状態です。ノンレム睡眠が1時間ほど続いたあと、次にレム睡眠がやってきます。 レム睡眠では、脳は覚醒に近い状態で活動しています。非常に浅いレベルでの眠りで、夢もレム睡眠中に見ていると言われています。 レム睡眠中、脳内ではその日に起きた出来事や知識を整理・蓄積しています。記憶の取捨選択を行い、嫌な記憶を思い出しにくいところにしまうなど、脳をリセットしてくれます。 レム睡眠が30分ほど続くと、再びノンレム睡眠の深い眠りに入ります。こうしてノンレム睡眠とレム睡眠を4~5回繰り返すことで、充実した睡眠になります。 また、ノンレム睡眠中は、子どもの成長に不可欠な成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは骨や筋肉をつくり、身長を伸ばす働きがあります。特に入眠から2時間後に盛んに分泌され、たくさん分泌されることで集中力や記憶力、知能も発達します。
● 自称「夜型」人間は 人生を損しているかも? 人間は原始時代から昼行性の生き物であり、朝に活動することは理に適っています。通常、昼の11時頃までは脳の交感神経が優位ですが、それ以降は副交感神経が優位になります。午後になり副交感神経がどんどん優位になっていくと、筋肉が緩んでリラックス状態になるため、勉強や仕事のパフォーマンスは上がりづらくなります。 中には「自分は夜型だから、夜中の方が頭がさえる」という人がいるかもしれません。子どもでも、思春期頃になると、趣味や勉強などさまざまな理由から夜更かしが習慣化してしまうことがあります。 では、夜型の人は昼間より夜間に活動した方が、実際に作業がはかどるのでしょうか。 これについては、14~18歳の青少年を対象とした研究結果が出ています。アンケートで朝型か夜型かを調査し、それぞれの判定が出た子どもの特徴について明確な差が確認されました。夜型判定が出た子どもは、朝型判定が出た子どもに比べ、日中の眠気を訴え、怪我が多く、注意力の低下や成績不振、さらには感情的に不安定といったさまざまな問題を抱えていることがわかりました*。 *“Circadian preference, sleep and daytime behaviour in ad-olescence.” Giannotti, F., Cortesi, F., Sebastiani, T. & Ottaviano, S., Journal of Sleep Research, Vol 11, Sep-tember 2002