好き嫌いをする子ども…ついつい言いたくなるけど「グッと我慢」なNGセリフとは?
わが家では娘の幼少期には毎朝ベーコンや野菜、チーズをたっぷり入れた簡単で栄養たっぷりのリゾットを作っていました。小学生になってからは、朝食をバイキング形式に変更し、卵焼きやハム、温野菜、主食にはパンやごはんを日替わりで置き、それぞれが自由に取り分けられるようにしました。 そうすることで、今朝は何を食べたいか、どれくらいの量なら食べられるかを娘が自分で知る訓練にもなります。 自分の食欲や体の状態をモニタリングする能力は前頭葉の働きであり、上げ膳据え膳では鍛えることができません。 ● 子に「正しい知識」を入れて 実践できる日をひたすら待つ バイキング形式にしてからは、娘に知識として「いろいろな色の野菜をバランスよくお皿に盛ると、栄養バランスがとれるんだよ」と伝えていました。とはいえ、子どもは好き嫌いをするものです。娘も、「でもトマトって苦手なんだよね」「シイタケの食感が嫌いなんだ」と理由をつけては好き嫌いをしていました。 こうした場面で親が言ってしまいがちな一言が、「嫌いでも一口は食べなさい」というセリフ。食育の観点から見ると大事なことのようにも思えますが、小学生はまだ本能を大切に生きる原始人に毛が生えたような生き物です。原始人はトマトの酸味を本能的に毒だと感じたら、恐らく食べないでしょう。
いくら知識で伝えても体が受けつけず、無理矢理食べさせると余計に嫌いになってしまうなど逆効果です。 ですから、あくまでも知識として「トマトにはリコピンという栄養素があって、健康にとてもいいんだよ」と子どもの脳にインプットだけしておきます。 すると、後々「おりこうさんの脳」が育ったタイミングで、子どもは「トマトは酸っぱくて苦手だけど、お母さんが栄養豊富って言ってたし、食べてみるか」と思い立ちます。 知識として脳にインプットされていた情報が教養として根づいたことで、苦手なものでも頭で必要性を理解し、食べられるようになるのです。 小学生の時は数えきれないほど好き嫌いをしていた娘も、大人になった今ではシイタケもトマトも美味しく食べます。無理強いをしなくても、子どもは脳の発達が追いついたタイミングで、必要な食べ物を自分で選び取れるようになります。 「嫌いでも体にいいから食べなさい」というのは正論ではありますが、脳育てのステップから考えると、幼い子どもに対する要求としてはまだ早過ぎる印象です。 小学生はまだまだ原始人、人間になるのをのんびりと待ちましょう。
成田奈緒子