「わずか10分で殺されかけて…」『銀河鉄道999』停車時間が短すぎる駅で起こった「衝撃エピソード」
■貧しさは機械人間にも影響する…暗黒星「メフィスト」停車時間10分
「暗黒星メフィストの黒騎士」にて登場する“メフィスト”という星での停車時間は、上述した“機械砦”より短い「10分」だ。 この星は黒騎士が所有権を主張していることから、別名“黒騎士の星”とも呼ばれていた。降りれば黒騎士がだまっていないということで、10分の停車時間をビュッフェで過ごそうと提案するメーテル。 しかしうっかりドアを開けてしまった鉄郎に黒騎士が襲い掛かり、助けようとしたメーテルは黒騎士の攻撃により貫かれてしまう。怒った鉄郎は戦士の銃で黒騎士を撃つが、ここで現れたのはブリキの缶などでできた、みすぼらしい姿をした黒騎士の本当の姿であった。 黒騎士は機械人間になるため努力したもののお金がなく、安物の体を買い足したり、人の部品を盗んだりして組み立てた結果、この姿になってしまったのだという。 しかしこんな姿を他人に見られることを嫌い、“ヤミ屋”からこの暗黒星を買ったが、政府などからは認められない。だが、お金を支払ったのは事実のため、黒騎士は“この星は自分のものだ”と言い張り、この暗い惑星で1人孤独な生活を送っていたのだ。 最後は鉄郎の攻撃により息絶えた黒騎士。そんな彼を哀れに思った鉄郎は、この星は“惑星メフィスト”ではなく「この星はあの男の星だ!! 黒騎士の星だ!!」と叫ぶのであった。 わずか10分の停車時間で、機械人間であってもお金がなければ苦節することを学んだこのエピソード。極貧生活のなかで育った鉄郎にとって、この黒騎士との出会いは人生観を揺さぶるほどの衝撃をもたらしたに違いない。
■恐ろしい地球の将来…!?「エルアラメイン」停車時間10分
最後に紹介するのは「エルアラメインの歌声」に登場する停車駅“エルアラメイン”だ。この星の停車時間も、わずか「10分」。 この星に住んでいた先住民族は、すでに戦争で滅亡していた。しかし戦車などの兵器の残骸は残っており、人間の生体反応を感知すると攻撃してくるという恐ろしい星だった。 そんなことを知らずにこの星に降りてしまった鉄郎とメーテル。1台の生き残った戦闘コンピュータが動き出し2人を狙うと、連鎖反応ですべての兵器が2人を狙撃しようとし、囲まれてしまった。 そこでメーテルは、銃で鉄郎と自らを撃ちぬいて仮死状態にして生命反応をなくす。そして最終的に車掌が2人を列車内に運び、難を逃れたのである。 エルアラメインの星では、人間が存在する限り戦闘コンピュータが作動し、攻撃が続く仕組みになっている。逆に人間がいなくなれば初めて戦争が終わり、永遠の眠りにつくという星なのだ。この設定は、今もなお戦争が続く地球の未来を暗示しているようにも思える。 わずか10分の停車時間で描かれたこのエピソードは、人類が戦争を繰り返す限り終わらない悲劇を象徴しており、背筋が凍るような恐ろしさがある。 今回紹介した停車時間が短い星は、いずれもわずか10分程度の停車時間でありながらも内容は非常に重かった。人間の尊厳を問うエピソード、貧富の差が生み出す悲劇、そして人が存在する限り戦争が続く現状……など、どれも現代の私たちにも強く響くテーマを含んでいる。 停車時間の短さにかかわらず、それぞれの星で学ぶことは多く教訓がある。それは私たちの人生においても同じであり、どんなに短い時間や些細な出来事であっても、学びや気づきはいつでも得られるということを示してくれているような気がしてならない。
でかいペンギン